「中学教科通信」2021年5月号 ウェブ版
4/17

 本稿で提案する活動は,平成29年度版中学校学習指導要領の第一学年「我が国の言語文化に関する事項」の「書写」に関する指導事項「漢字の行書の基礎的な書き方を理解して,身近な文字を行書で書くこと。」を念頭において計画したものです。毛筆を使用する各学年での書写の指導において,ICT活用を推進した授業のハイブリット化を図っていきたいと考えました。 自身の勤務する渋谷区では,区内小中学校の全ての児童・生徒にタブレット(Microsoft Surface Go 2)が貸与されており,ICTを活用した授業が各教科で展開されています。生徒はすべての授業で自分のタブレットを活用する機会があります。学校内では,学習教材ソフトによる意見交換や新聞作成,PowerPointによるプレゼンテーション,Wordによるレポート作成などを常時行い,家庭では学習支援ソフトによる宿題や提出をタブレット上で行うなど,日常的にタブレット学習を行っている状況にあります。 そこで,今回は書写学習の過程の中で,友達やクラスの人との相互学習を学習教材ソフト【ミライシード】の〈オクリンク〉機能をタブレット学習で行い,課題を視覚化することで課題意識を明確化させ,課題解決へと導く指導を行っていきたいと考えました。また,生徒の個人内評価をタブレット上で行えるポートフォリオ機能についても紹介します。 今回は,第三学年の書写学習のまとめ「書き初め課題の学習」の授業について詳しく述べていきます。(3)学習計画(7時間扱い)第1時 今年度の書初め課題の文字基準理解と補助線引き第2・3時 行書書き初め課題より「感性が光る」試書第4・5時 楷書書き初め課題より「自分の進路」試書第5~7時 行書・楷書のどちらか1つを選び試書①②第8・9時 書き初め席書会(学年開催 本校体育館)ICTを活用した授業のハイブリット化――書き初め(行書)課題の学習をとおして――元 渋谷区立上原中学校主幹教諭 板いた垣がき 純じゅん子こはじめに授業計画(1)単元(題材)名 【生活に広げよう】書き初めをしよう 楷書課題「自分の進路」(東京都中学校書写研究会 書き初め紙上展の行書課題より)(2) 単元(題材)の目標 これまでの学習を生かし,筆使いや字形・配列に気をつけて書き初め課題を書こう【ICTを活用した学習】。授業の流れ 本稿では授業展開の後半,第4時以降の内容の詳細について述べていきます。(1)本時の目標①タブレットを活用し,試書した各自の課題をカメラ機能を使って視覚化することで,課題解決への道を探る。②これまでの学習を生かして,字形を整え,文字の大きさ,配列に気をつけて毛筆・行書で書き初め作品の試書に取り組む。(2)本時の展開【個別探究1】〇試書をカメラ機能を使用して撮影し,【ミライシード】の〈オクリンク〉機能を使用して自己分析し,課題を達成できたところと達成できなかったところを確認してみる(課題発見)。4デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 書写特集

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る