突然ですが,みなさんご自身が小学生だった頃に受けた「書写」の授業はどんなものでしたか。「書写」の学習のイメージといえば,……浮かぶのは,そんな光景でしょうか? 指導書の解説や学習指導案などにも,流れが詳細に載っています。書写の授業の進め方に悩まれているかたでも,イメージをもちやすいと思います。 現在でも,教室に電子黒板,実物投影機など,大型電子提示装置が整備されている学校は多いと思います。これらと,教師用のPCがつながっていれば,まず一斉学習において,さまざまなコンテンツを児童に提示することが可能です。 第3学年『力』の毛筆の学習を例にします。この単元では「折れ」と「はね」の筆使いを学びます。学習指導要領でも書写において字形だけでなく運筆の指導が重要であるということが明記されています。 その日の学習のめあてや基準文字(手本)を確認する際(❶❸)に,ただ教師が初めからポイントを伝える単純な形にするのではなく,例えばあえて『力』の一画めが「折れ」でなく「曲がり」のように書かれている文字を提示します。その際,デジタル機器で該当箇所を拡大して意識づけることもできます。 そして,どのように直せば文字が正しく整うかを話し合う活動を取り入れ,このあとの自分の課題を見つける活動が確実にできるように理解を深めさせていきます。児童はその際,「『曲がり』ではなく『折れ』のようにするんだよ!」と,字形について気づいたことを喜々として話してくれるでしょう。この話し合いでポイントを確認した児童が,自分の試し書きと教科書の文字を比べ,「折れ」の部分に課題を見つけたとき(❹),それを解決するための 「書写」の授業における「ICT活用」ときいたときに,なかなか実際のイメージがわかないかたもいらっしゃるかもしれません。それには,多かれ少なかれ,今もこのような授業の流れが学校現場に残っている状況が関係しているのではと考えられます。 私は書写の研究会で授業を見たり,自分が授業者となったりする機会も多くありますが,授業後の協議会で必ずといっていいほどきくのが,「書写でも話し合いの活動をするのですね。」や,「このように児童自身が課題を見つけていく書写の 授業は初めてみました。」というようなお声です。 すでに実践されている先生も多いとは思いますが,お手元の書写の「教科書」をあらためてご覧になってみてください。課題解決型の書写学習をスムーズに進められるような構成になっています。児童が主体!課題解決型の書写学習とICT活用江戸川区立第四葛西小学校主任教諭 濵はま田だ まや はじめに 書写は課題解決学習一斉学習での効果的な提示 書写の授業の基本的な流れ❶学習のめあてを知る❷試し書きをする❸基準を確認する ❹試し書きと教科書の文字を比べて,気をつけ ることを見つける(自己批ひ正せい)・先生が太筆に水を付けて水書板に書いてみせる。・「手本をよく見て,形を真似て書きなさい。」「私語は禁止。」などと言われて,黙々と練習する。・先生のところへ持っていくと,朱墨で直されたり,よくできたと大きな花丸をもらったりする。❺気をつけることを確かめる(課題把握)❻練習する❼まとめ書きをする ❽自己評価や相互評価をする❾学習したことを他の文字でも確かめる❿学習を振り返り,日常生活に広げる2デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 書写特集
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