のです。そうすると,画面下のタブで各資料をすぐ切り替えて表示できるようになります。細かいところですが,こういう機能も活用することで,授業が組み立てやすくなります。―デジタルと紙の教科書で違うところといえば動画資料がありますが,どれぐらい使っていますか。 事前に動画の内容を確認する時間がとれなかったときは,使わないケースもあるようです。ただ,働く人の話や作業の動画は,事前に見なくてもある程度内容がわかりますし,やはり写真よりも臨場感がありますから,ほぼ全部視聴しています。子どものほうが動画アイコンを見つけて,「見たい!」と訴えてくることもあります。動画コンテンツはやはり興味をそそられますよね。「教材への働きかけが,主体的になる」と,先生方も感じているようです。 使い方としては,「農家の三輪さんに,米づくりの中で気をつけていることを聞いてみましょう」と投げかけてから見せたり,「資料から読み取ったことを,映像を見てみんなで確かめて,わかったことをまとめましょう」というように目的をもたせて見せたりしています。―デジタル教科書のほかに,社会科の授業でICTを活用する場面はありますか? オンライン会議システムを使って,遠隔地の人に話を聞く機会を設けました。例えば5年の食料生産の学習では,当校の姉妹校がある山形県天童市のJAの方とオンラインでつなぎ,米づくり石井先生石井先生の新しい取り組みについてインタビューしました。 映像+音声のやりとりはデータ通信量の面で従来のインターネット環境では使用に不安がありましたが,「GIGAスクール構想」のもとで環境が整備されれば,その不安はなくなります。リアルかオンラインかにかかわらず,実社会の人たちから話を聞く機会をもつことは,社会科では特に大切です。当校の先生方も,実際にやってみると「オンラインでも違和感なくできた」と言っていました。まずはやってみる,人とつながることが大事だと思います。―見学や調査活動の幅が広がる,というのは,社会科でICTを活用するメリットの一つですね。子どもがデジタル端末を使う場面もあるのでしょうか。 これまでは端末が2クラス分しかなかったので,使う時間に制限がありました。ただ,社会科嫌いの子どもでも,パソコンを使って調べると,やる気を出す場合があります。関係図にまとめる時に,内容の記述ではなく,線や図を描くのが苦手でつまずくケースがありますが,デジタルではそういった技能の差が緩和されます。多様な子どもたちがいるのだから,ツールも多様なほうがいい。そういう意味でも,「1人1台端末」はメリットがあります。 最初は目新しさもあってデジタル端末を使うことに関心が集まるでしょうが,使い慣れてくれば,子ども自身で紙に書いてまとめるか,端末を使ってまとめるか,考えて選ぶようになっていくでしょう。―デジタルばかりに頼る必要はないし,実際に使ってみるとそうはならない,ということですね。 教師が学習のねらいに応じて,ICTを柔軟に活用する姿勢が求められます。デジタルは修正・加工・提示がしやすい長所がありますが,裏返せばすぐに消えてしまう短所になります。板書では重要な資料は従来同様,紙で出力して掲示することも必要です。これまでの先生方の指導技術とICTの機能を融合して,わかりやすい授業が期待できます。石井先生石井先生他のページの資料も事前に開いておけばタブですぐに切り替えできる。タブで,各資料の表示切り替えがパッとできる。5デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 社会特集
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