小学校算数:算数を目で見てみよう!『目で見る算数』
~子どもも先生もワクワクするデジタル教材~
お茶の水女子大学附属小学校教諭
〈小学校教科通信 2021年5月号より〉
子どもも大人もワクワクする『目で見る算数』
「おもしろい!これを見た子どもたちも,きっと算数って楽しいなってワクワクするだろうな...」
これが,初めて『目で見る算数』を見たときの感想です。
『目で見る算数』は,算数の一斉・協働・個別学習の場面で活用できる,動画を使ったデジタル教材です。東京藝術大学大学院映像研究科教授の佐藤雅彦先生が総合監修で,NHK Eテレで放送中の「ピタゴラスイッチ」などの番組に携わっているユーフラテスの皆さんが企画・制作に関わられています。
『目で見る算数』は,子どもたちが学んでいる算数の内容を「あっと驚く切り口」で映像化しています。そして,そのおもしろい映像の中には,算数の本質がメッセージとしてしっかりと入っていて,見た人は,その本質を強いインパクトとして受け取り,実感をもって内容を理解することができます。
私のおすすめ映像
(1)「あばれる三角形」(5年 合同と三角形,四角形)
映像では,最初に,1つの三角形が暴れています。「え?三角形が暴れるってどういうこと?」と疑問に思ったかたもいらっしゃるかもしれません。「あばれる三角形」とは,3つの頂点の位置が決まらない三角形です。頂点がいろいろな位置に動くため,1つの三角形には決まらず,ずっと動いている三角形なのです(本当に激しく暴れています。私も,生まれて初めて暴れる三角形を見ました!)。この「あばれる三角形」を,提示された三角形と合同になるように動きを止めて,形を決めていくというのが,この映像のストーリーです。
「1つに決まらない三角形」にどのような条件を加えると,提示されていた三角形とぴったり同じ形になるのか,つまり,合同な三角形に決まるのか,その過程をアニメーションで楽しく見ることができます。
合同な三角形が決まるということから,逆に決まらないとはどういうことなのかを映像にすると,「あばれる」ということになるのですね。そして,新しい概念(ここでは合同)を理解するために,その逆の事柄に着目するという見方や考え方も,大切だと実感しました。
「三角形が決まらない=三角形があばれる」という表現は,映像でないと伝わりません。文章だけでも,写真だけでも,なかなか伝わりませんね。では,「図形が1つに決まる=動きが止まる」ためには,要素として,何が決まればよいのでしょうか。続きは,ぜひ映像をご覧ください。
▲暴れている三角形
(2)「円柱なれるかな?」(5年 角柱と円柱)
「円柱,円柱,円柱,円柱,円柱なれるかな~♪」
この映像を見た人は,きっとこの歌を自然と口ずさんでしまうでしょう。
第5学年で,「円柱の展開図」を学習します。円柱の展開図をかく活動をとおして,円柱を切り開いたり,組み立てたりすることで,図形の構成要素の関係を念頭操作によって見いだすことができるようになっていきます。特に円柱では,側面を母線に沿って切り開くことで曲面が平面に変わることや,側面の1辺が底面の円周の長さと等しいことを,実感をもって理解できるようにしていきたいところです。
実際の映像では,いろいろな展開図から円柱ができていきます。子ども自身で何個も展開図をかいて 確かめることはなかなか困難です。この映像を見ると,展開図は1通りではないことが理解できます。
このときも, |
このときも, |
こんな場合でも, |
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また,円柱になれる展開図かどうかは,どこの長さとどこの長さが関係しているのかを考えないとわかりません。円周と長さの関係も,映像の中でわかりやすく説明されています。
実はこんな形の展開図も「円柱なれるのね~♪」
授業での使い方
各映像には,単元の導入,まとめ,活用の,どこで映像を見せるとよいかという「授業でのおススメ活用場面」や,映像を一時停止させ続きを考えさせる場面をつくる「ここで一時停止」など,具体的に授業で使うアイディア例が紹介されています。先生がたが特別な準備をすることなく,手軽に授業で使用することができます。
実際に映像を見てみたいかたへ
実際に映像も見てみたいかたは,YouTube「教育出版チャンネル」より,サンプル動画や,解説動画を見ることができます。動画は,第4学年から第6学年まで,合計42本あります。
まずは,先生がたが『目で見る算数』をご覧になって算数を楽しむところから始めてみませんか?
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【YouTube教育出版チャンネル】
ここでは製品のうち,サンプルとして動画6本を紹介しています。