小学校音楽:デジタル教科書の活用方法
~デジタル教科書は授業のパートナー!~
元徳島県徳島市立論田小学校校長
〈教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.3 2022年9月号より〉
はじめに
「デジタル教科書」は、パソコンやタブレットで見られる教科書で、紙の教科書と同じ内容です。しかし、「デジタル教科書」だからこそできることがたくさんあります。
また、「デジタル教科書」は、全ての授業の中で活用するのではなく、板書や実物投影機、プレゼンテーションソフトなどと併用し、「ここぞというとき」に視覚・聴覚から、学習の理解や活動を支援するものです。
なお、本稿の「デジタル教科書」とは「小学校音楽科の指導者用」です。今まで紙の教科書では実現できなかったさまざまな活用方法を次のようにご紹介します。
デジタル教科書の効果的な活用例 「ここぞ!というとき」の場面
(1)歌唱
「まなびナビ」の学習の流れを項目ごとに拡大して取り出し、児童に「見通し」をもたせて学習を進めます。
「音楽のおくりもの」(以下同じ)3年生 p.43「ふじ山」
題材名 にっぽんのうた みんなのうた
めあて せんりつの流れを生かし、気持ちよく声を出して歌おう
見通し 言葉やせんりつの流れを生かして歌いたいな
活動内容 「スタート」から順に、項目ごとに取り出し拡大する
① 項目ごとに「ゴール」まで確認していく
② 「歌声」を関連させて指導する
③ 「ゴール」に到着後「評価」する
【展開例】
◇「まとめ」は本時の「めあて」の答え(全体で同じ)
◎「振り返り」は個人の学びの過程(個により異なる)
(2)器楽
鍵盤ハーモニカの鍵盤図の拡大と、指番号・手の形を指導します。
1年生 p.38
題材名 こんにちは けんばんハーモニカ
めあて どれみふぁその おとで あそぼう
活動内容 指番号・手の形と鍵盤の位置を指導する
① デジタル教科書から指番号を説明する
② 手をみかんを掴むような形に指示する
③ 鍵盤の押さえ方を提示する
④ ドレミファソの音の出し方を指導する
【展開例】
(3)音楽づくり
教師のつくったものを例示します。
5年生 p.26「4小節のせんりつをつくろう」
題材名 声のひびき合い
めあて 和音に合わせてせんりつをつくろう
活動内容 デジタル教科書に階名を入力し、例を示す
① 和音について説明する
② 階名を選択し入力する
③ 記録保存する
【展開例】
(4)鑑賞
楽曲の特徴的な部分を楽譜から再生します。
6年生 p.14「交響曲第5番『運命』第1楽章から」
題材名 演奏のみりょく
めあて 思いを生かした表現のみりょくを感じ取ろう
見通し 演奏者の意図を感じ取ったり、自らくふうしたりできるかな
活動内容 デジタル教科書から「スコア」を取り出し、楽譜を再生する
① 楽器の種類なども指導する
【展開例】
おわりに
デジタル教科書を活用することが目標ではなく、音楽科の「目標」を達成するための手段として、デジタル教科書の活用があります。
題材の「ねらい」により活用方法が違ってきます。活用例をアレンジしながら、効果的な活用方法を研究してみてください。
編集補足説明:︎デジタル教科書「おとづくり」ツールの画面。
旋律を自由に入力したり和音や低音を選んだりして、音を確かめながら音楽づくりに取り組むことができる。