ド商品などの販売や,支援事業地を訪問滞在できるボランティアツアーの実施など)を展開し,寄付だけに頼らない組織運営を行いました。 筆者は,1997年の米国NGOでのインターン中に,ある雑誌でクレイグ少年の活動記事を目にし,彼の行動力に感銘を受けたのと同時に「子どもは助けられるだけの存在ではなく,自身が変化を起こす担い手である」というFTCのモットーに強く共感しました。周囲との調和が求められることが多い日本社会の中で,世界に目を向け,さまざまな立場に置かれる人々や異なる価値観を理解し,自分たちにできることを考える―そういった子どもたちが増えたら,日本はもっとより良い社会になるのではないかと考え,帰国後の1999年に日本の子どもにクレイグ少年とFTCを紹介するかたちで, FTCJを設立しました。 FTCJは次の2つのミッションを掲げています。 ミッション❶を達成するため,インドやフィリピン,ケニア,エクアドル等での国際協力事業や国内の貧困家庭への支援活動を行っています。またミッション❷の実現に向けて,学校や企業,自治体などへの出前授業や主催イベントを通じて,世界の子どもの現状を伝える啓発活動を行うとともに,社会問題に当事者意識をもって取り組めるよう,子どもや若者のチェンジメーカー育成事業を実施しています。加えて,国内外の子どもの権利を守るための政策提言活動,他組織と連携してSDGsの実現を目指すネットワーク事業,途上国の支援地域を日本の子どもたちが訪問し,現地の人々と交流しながら自分にできることを考えるスタディーツアーを行っています(現在は残念ながらコロナのため中止しています)。 FTCJでは,子どもが主体的に活動に関われるように,高校生以下の子どもが無料で登録できる,子どもメンバーの制度を設置しています。さらに,組織や事業運営に興味のある子どもは,子どもアンバサダーや,チームリーダーに立候補でき,選抜されれば就任できます。また,理事に元子どもメンバーが最低2人就任するように役員を選出しています。日本でも活動をスタート❶国内外の貧困や差別から子どもをFree(自由)にする。❷子どもには世界を変えられないという考えから子どもをFree(自由)にする。 私たちは,すべての子どもは生まれながらにして子どもの権利をもち,一人の人間として尊重されるべき尊い存在であり,変化を起こす力があることを子ども自身に伝えるようにしています。一方で,「子どもには変化を起こす力はありますが,その芽を伸ばせるかどうかは,周りのおとなにかかっています。」と37歳になったクレイグは言います。日々子どもと向き合っていらっしゃる先生方に感謝するとともに,子どもへのさらなるエンパワーメントのためには,先生をサポートし,連携させていただくことが不可欠であると思っています。国際理解教育や人権教育,英語教材やソーシャルアクションのための教材など,先生向けの教材や授業にご活用いただけるプログラムを用意しておりますので,FTCJウェブサイトをご覧いただけますと幸いです。クレイグや活動についてのご質問もお気軽にご連絡ください。お問合せメールアドレス:info@ftcj.org学校の先生方へ団体ブログ学校関係者向けメールマガジン登録(無料)中高生による,児童労働の廃絶を訴えるためのウォーク クレイグが12歳で団体を設立した事例を日本の子どもたちに伝えると,「社会問題に子どもが関われるなんて思っていなかったけれど,自分にもできることがあると感じた。できることから何かしてみたい!」というポジティブな声が多く聞かれます。主体的にソーシャルアクションを起こした子どもの事例を紹介している団体ブログも,ぜひご覧ください。21現代的な教育課題とこれからの授業デザインー教科の視点 英語特集
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