教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.1 (中学校版)
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 光り出しのゲンジボタルです。だいたい日没の30分後に,最初の「一番ボタル」が光り出します。 私は,子どもとホタルを見に行くとき,夜ではなく,必ず夕方に行くようにしています。それはこの一番ボタルを見つけてほしいのと,ホタルの発光がピークになって乱舞しているときに,車のヘッドライトを当てたくないからです。 早く着きすぎて,子どもたちからは「お父さん早すぎだよ,まだ明るいからホタル出ないよ」と不満の声が出ます。でも,お弁当を食べたりして時間をつぶしていると,ホタルの生息地にある川や花,虫たちに興味を引かれ,遊び始めます。遊ぶことで,ホタルの生息地がどんな場所かを覚えます。 そして,だんだんと暗くなってくると,ポツンと一番ボタルが光ります。「お父さん,あそこ光った」「こっちも光った」と光を見つけることで,子どもたちはホタルが昼間どこに生息しているのかがわかるようになります。ホタルはその場所でいちばん暗いところから光り出します。 さらに暗くなると,ホタルは乱舞していきます。「ホタルは暗いのが好きなんだ」ということに子どもが気づいてくれます。小原 玲(おはら れい)1961年生まれ。動物写真家。報道写真家として内外の雑誌で活躍したあと,アザラシの赤ちゃんとの出会いを契機に動物写真家に転身。シロクマの母子の写真物語「うみへのながいたび」が教育出版小学国語1年の教科書に掲載されている。写真集,著書は多数。愛知県名古屋市在住。一番ボタル小原 玲連載エッセイ 動物たちからのメッセージ25動物たちからのメッセージ連載

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