2.学校ビオトープの意義

〔2〕 自然と共存した街づくりを進める一環として





効果的な自然の残し方


 自然を残すうえで大切なことは、野生の生きもののために、少なくとも、より広い土地をより円形に近いかたちでかたまりとして残し、それらを自然でつなげることである。野生の生きものの多くは、一生を限られた狭い面 積で過ごすのではなく、成長段階や季節によって、広範な移動を行う。さらに、野生の生きものが健全に子孫を残していくためには、近くに生息する仲間と交流することも必要不可欠となる。

 自然が孤立化している現代の日本の市街地において、学区ごとに適度な距離で分散している学校に学校ビオトープをつくることは、自然と共生した街づくりに向けて大いに貢献することにつながる。野鳥や飛翔性の昆虫などが、学校ビオトープを中継地として、さらに移動していく手助けができるからである。
 と同時に、開発や、アメリカザリガニ(北米原産)やウシガエル(北米原産)などの外来種、園芸種による緑化活動などによって、生息を脅かされている生きものには避難所を与えることにもつながる。
 子どもたちに、学校ビオトープをつくり育てる作業が地域の自然に貢献する価値あるものであることを認識させ、地域貢献の意識を養う場としても活用したい。

 また、学校ビオトープを訪れる可能性がある生きものの中には、シベリヤから渡ってくるジョウビタキやツグミなどがいる。冬場にこうした野鳥を見つけた時には、子どもたちに学校ビオトープが世界とつながり、世界の自然生態系を支えることにも関わっていることを考えさせたい。


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