おおいぬ座の1等星・シリウスは,本当はマイナス1.5等星です。この明るさは夜空で見える恒星(自分から光を出している星)の中で一番明るいものです。なんとベテルギウスやリゲルの6倍も明るいことになります。本当の大きさでも太陽の2倍くらいの大きさがあります。このシリウスの名の意味は,「焼きこがすもの」という意味で,強烈な青白い光を放っています。
このシリウスは古代エジプトでは大変重要な星でした。というのも,この星が明け方,東の空に現れるようになると,ナイル川の大洪水の時期がまもなくやってくることを知らせる星だったのです。大河ナイル川の氾濫は,古代エジプトの人たちにとってやっかいなものでありましたが,一方上流の肥えた土を大量
に運んできてくれるありがたいものでもありました。その時を知らせてくれる星だったのです。
今から150年前,このシリウスを詳しく調べた人がいました。ドイツの天文学者・ベッセルです。そして。シリウスが50年周期でふらついていること。その原因は近くに星があることだと考えましたが,その謎の星は見つかりませんでした。それから18年後,アメリカのクラークという人が,望遠鏡のテストをかねてこのシリウスを観察したとき,そこにシリウス(シリウスA)にくっつくように小さな暗い星を見つけることができました。これがシリウス伴星(シリウスB)です。シリウス伴星は,調べてみると大きさは地球の2倍くらいしかないのに,重さは太陽と同じくらいあるというとてつもない星でした。白色わい星の発見です。
今はまだシリウスAの近くにあるので見えないと思いますが,もうしばらく年がたてばシリウスAから離れてくるので見えてくるかもしれません。
このシリウスを大犬の口元にして三角形の星並びが見つかれば,そこが大犬の頭になります。それを目印にして順に星をたどって大犬の姿を見つけ出してください。シリウスの南をよく見ると空の暗いところでは肉眼でもぼやっとした星の集まりがわかります。これが散開星団M41です。
この大犬は,猟犬レラプスだとかオリオンの連れていた犬だとか地獄の番犬ケルベロスだとかいろいろな説があります。
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