星占いでよく知られているいて座は,半人半馬のケイローンの姿を星座にしたものです。ケイローンは勇者ヘラクレスの先生でありましたが,その最期は,なんとヘラクレスが放った毒矢があやまって当たり,命を落としてしまうというものでした。それを見ていた神様が星座にしたということです。
  星空では,西隣にあるさそり座が暴れださないように矢を引いて見張っているようにも見えます。
  1等星がなく暗い星ばかりですので,空の明るいところでは見つけるのに少し苦労するかもしれません。しかし,一度見つけてしまうと,いろいろな姿に見えてくるから不思議です。西洋では,ティーポットの形として見られます。東洋では,南斗六星として見られています。昔々の中国では北斗七星が死をつかさどる仙人,南斗六星が生をつかさどる仙人で,人の寿命はこの2人の仙人が相談して決めるとされていました。ある働き者の若者がいて,その若者の寿命は19歳と最初決められていたそうです。ですが,あまりによく働くので,ある人の知恵により,仙人に認められ,十九をひっくり返して,九十まで生きられるようになったというお話があります。
 このいて座の方向は,わたしたちの銀河系の中心方向です。そのため,天の川がいちばん濃く複雑に見えるところでもあります。ですから,肉眼で眺めるだけでなく,双眼鏡などで見てみると,本当に無数の星が輝いています。M22という大きな球状星団などもあり,見ごたえがあります。

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