天の川の西にあること座には,夏の星々の中でもひときわ明るく輝く真っ白な星,ベガがあります。このベガは,七夕の織姫星(織女星)として有名ですね。肉眼で見えるいちばん明るい星を1等星とよんでいますが,ベガは,くわしく見ると,本当は1等星よりも明るい0.0等星です。ですから大変よく目立ちます。夏の初めの夕方,東の空に明るい星があったら,ベガと思ってまず間違いないでしょう。この様子をとらえて西洋では,ベガのことを「真夏の女王」とよんでいるそうです。1万2千年後には北極星になる予定の星です。(*地球の自転軸は,同じ傾きでずっと回っているのではなく,こまが回るときのように長い時間をかけて首振り運動をしています。この運動が一周するのには2万6千年もかかります。これを歳差といいます。)
 こと座の「琴」は,日本の長くて大きな琴ではなくて,ギリシャ神話に出てくるオルフェウスという琴の名手が持っていた西洋のたて琴が天に上げられて星座になったものです。ベガの東にある4つの星をつなぐと細長い平行四辺形ができます。この長いほうの線がたて琴の弦を表しているのです。星座絵と星座線で確かめてください。
 この平行四辺形を使って,面白い形をした星雲を見つけることができます。それは,2つの星を結んだ線のほぼ中間にあるM57という星雲です。肉眼ではわかりませんが,望遠鏡を向けてみると,ドーナツの形をした星雲が見えることでしょう。これは,大昔に星が爆発し,それで吹き飛ばされたガスが広がっていっているのです。都会でも風が強くて空の澄んだ日には望遠鏡で見つけることができます。
 また,ベガの近くにある星は,肉眼で見ると1つの星ですが(目のすごくよい人には2つの星に見えます),望遠鏡で見るとニ重星が2つ見えるので,ダブルダブルスターとよばれています。

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