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しっぽに毒針をもつさそりが星座になったこの星座は,冬のオリオン座とのお話が有名ですね。オリオン座には別
の話もあるのですが,それは冬に譲るとして,ここではオリオンとさそりのお話をしましょう。 昔々,腕のいい勇猛果敢な勇者オリオンは,その腕を自慢して,自分がいちばん強く,神様だってかなわないのだとまで,うぬ
ぼれるようなりました。この様子を天から見ていた神様は,怒って一匹の毒さそりをつかわしました。油断してのんびりしているオリオンにさそりが近づき,そしてチクンと一刺し。さそりの毒が体にまわって,あっけなくオリオンは命を落としてしまいました。そのオリオンを星座にしたのですが,また高慢になってはいけないと,見張り役としてさそりも星座にしたのです。そのため,さそり座が空にあるときにはオリオン座は恐れをなして姿を見せず,さそり座が空からいなくなると東の空から出てくることになったということです。
さそり座を見つけてみましょう。さそりのしっぽのカーブまで見つけるには,南の空が地平線近くまで見えるところが理想的ですが,さそりの心臓にあたる1等星アンタレスを見つけるのなら,都会でも見つけられるでしょう。このアンタレスを心臓として,少し右に傾いた大きなSの字を探してみてください。大きなはさみを振り上げ,しっぽの毒針を得意げに見せているさそりの姿が見えてくるでしょう。
アンタレスとは,アンチ(対抗するもの)とアレース(火星)が一つになったものです。普段はアンタレスのほうが火星より明るいのですが,火星は2年2か月ごとに地球に近づくので,そのときにはアンタレスより明るくなります。2つの星は,恒星と惑星という違いはありますが,その赤さと明るさで,まさしく対抗しあっているようです。
このアンタレスのすぐ西側にはM4という球状星団があり,さそりのしっぽの北側にはM6,M7という散開星団があります。双眼鏡や望遠鏡で眺めてみてください。
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