惑星の数が9個から8個になったって本当!?
本当です。でもどうしてでしょう。そのことをお話しするには,惑星は何かをお話ししなければなりません。
右の写真は東の空に昇ってきたしし座の姿を写したものです。星と星を結んでしし座を探してみましょう。星座早見を使うとわかりやすいですよ。
でも,星座早見にのっていない明るい星が写っているのが見つけられますか。そうです。いちばん明るく写っている↓印の星です。これが惑星の中の一つ,土星なのです。
望遠鏡がまだ発明されていなかった時代,人々は夜空を見上げ,星と星を結んでいろいろな星座を作ってきました。
ところが,この星座の中をふらふらとさまようように動く星があったのです。しかもその動きは,ある時はゆっくりとあるときは急速に動きます。また,ゆっくり動いて動きが止まったかと思うと今度は逆方向に動き始めるなど,戸惑いながら動いているような星に見えたのです。そこでこれらの星々を「惑星」と名づけました。
このようにして見つけられた惑星ですから,明るさは6等星(人が肉眼で見ることのできるいちばん暗い星の明るさ)以上です。水星・金星・火星・木星・土星の5つの惑星は明るいので,昔から人々に知られていました。
1610年,ガリレオは倍率20倍の望遠鏡で木星を観察しました。すると,木星の周りに4つの小さな星がありました。時間をおいて見てみるとなんとその小さい星は木星の周りを回っているではありませんか。これがガリレオの発見した4つの衛星(=ガリレオ衛星)です。ここからガリレオは私たちのいる地球は動かない地面ではなく,太陽の周りを回る惑星の一つではないかと考えたのです。この考えは最初のうち人々に受け入れられませんでしたが,しだいに認められるようになりました。これで,地球をふくめて惑星の数は水金地火木土の6つです。
そののち,望遠鏡の性能は着実に向上し,さらに暗い星まで観察できるようになってきました。すると,ひょっとしたら6つ以外にも惑星があるのではないかと人々は考えるようになりました。
そんなとき,おもしろい法則を見つけた人がいました。ドイツの数学者チチウスです。チチウスの見つけた法則を論文に書いて有名にしたのがドイツの天文学者のボーデという人だったので,この法則は,チチウス・ボーデの法則とよばれています。発表されたのは1772年です。
この法則は,太陽から地球までの距離を1(=1天文単位)とすると,太陽からそれぞれの惑星までの距離が一つの簡単な関係式で出てくるというものでした。それでは,この法則によって出てきた数と実際の距離とを比べてみましょう。
右の表を見ると,実際の距離と法則とがよく合っていることがわかると思います。この表から,?(1)〜?(3)がまだ見つかっていない惑星ではないかと考え,惑星探しが始まりました。
1781年にまず?(2)のところによく合う惑星が発見されました。その惑星までの太陽からの実際の距離は19.19天文単位でした。これが,天王星です。
そして1801年には?(1)のところにも星が見つかりました。ケレスです。その距離は2.77天文単位でした。チチウス・ボーデの法則とよく合っていますね。また,このケレスと同じような距離には星がたくさんあることもわかりました。今でいう小惑星帯です。これで惑星の数は7つと小惑星帯です。
こうなると,?(3)のところにも惑星があるはずだということになり,未知の惑星探しが始まりました。
そして1846年,イギリスのハーシェルによって,海王星が発見されました。ところが海王星は30.1天文単位の距離にあり,チチウス・ボーデの法則にあまり合いません。しかも,海王星と天王星の動きの関係を調べてみると,さらに遠くに惑星がないとおかしいことがわかりました。こうして,さらに惑星探しが始まりました。これで惑星の数は8つです。
海王星発見から80年以上も経って,ついにアメリカのトンボーが1930年に冥王星を発見しました。太陽からの距離は39.5天文単位。チチウス・ボーデの法則とかなり合っていますね。これで惑星の数は9つ。みなさんがよく知っている水金地火木土天海冥です。
観測技術がどんどん進歩してくると,海王星よりも遠いところに冥王星よりも大きな天体が見つかるようになりました。そこで,これらの天体も惑星にして惑星の数を全部で12個にしようという提案が国際天文学連合でありました。すると,今後もこのような天体が発見され,惑星の数が増えていくことが予想されます。この案には反対も多く,あらためて「惑星」って何なのかを考えようということになりました。
国際天文学連合での話し合いの結果,惑星とは次の3つの条件に合うものとなりました。
これまで惑星とされてきた冥王星は3の条件に当てはまらないので,惑星ではなくトランス・ネプチュニアン天体の一つになりました。2006年8月のことです。つまり,この国際的な話し合いによって惑星の数は水金地火木土天海の8つになったのです。
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そののち,望遠鏡の性能は着実に向上し,さらに暗い星まで観察できるようになってきました。すると,ひょっとしたら6つ以外にも惑星があるのではないかと人々は考えるようになりました。
そんなとき,おもしろい法則を見つけた人がいました。ドイツの数学者チチウスです。チチウスの見つけた法則を論文に書いて有名にしたのがドイツの天文学者のボーデという人だったので,この法則は,チチウス・ボーデの法則とよばれています。発表されたのは1772年です。
この法則は,太陽から地球までの距離を1(=1天文単位)とすると,太陽からそれぞれの惑星までの距離が一つの簡単な関係式で出てくるというものでした。それでは,この法則によって出てきた数と実際の距離とを比べてみましょう。
下の表を見ると,実際の距離と法則とがよく合っていることがわかると思います。この表から,?(1)〜?(3)がまだ見つかっていない惑星ではないかと考え,惑星探しが始まりました。
1781年にまず?(2)のところによく合う惑星が発見されました。その惑星までの太陽からの実際の距離は19.19天文単位でした。これが,天王星です。
そして1801年には?(1)のところにも星が見つかりました。ケレスです。その距離は2.77天文単位でした。チチウス・ボーデの法則とよく合っていますね。また,このケレスと同じような距離には星がたくさんあることもわかりました。今でいう小惑星帯です。これで惑星の数は7つと小惑星帯です。
こうなると,?(3)のところにも惑星があるはずだということになり,未知の惑星探しが始まりました。
そして1846年,イギリスのハーシェルによって,海王星が発見されました。ところが海王星は30.1天文単位の距離にあり,チチウス・ボーデの法則にあまり合いません。しかも,海王星と天王星の動きの関係を調べてみると,さらに遠くに惑星がないとおかしいことがわかりました。こうして,さらに惑星探しが始まりました。これで惑星の数は8つです。