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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その774
「信濃教育1570号(平成29年9月)」 ((公財)信濃教育会 定価:400円)
今号のテーマは,「地域との連携による学校づくり」である。1981(昭和56)頃,東京都では「地域に根ざした教育」を奨励していた。H市教育委員会指導主事として「地域は教室」「地域は教材」「地域は先生」「地域は世界への入口」と素朴に取り組んでいたことを思い出す。現在,「地域の人的・物的資源の活用」に通じるものがあった。
本誌は,学校からの視点からだけでなく,地域と学校の関係を全方位的に捉えて実践しているもので,新しい視点から「学校と地域の連携」を学び取ることができ,「開かれた教育課程」の1つの例を見ることができる。
内容は,つくば市教育長門脇厚司「巻頭言・社会力育てを促す学校教育の在り方と地域の役割」,実践報告「人の輪から和へ広がる「中沢小学校応援隊」の歩み(中沢小・清水久仁彦)」,「知己と課題を共有する学校を目指して(伊那東小・山内伸治)」,「3年目の「お仕事ゼミ」の取組を通して(佐久平浅間小・前田全俊)」,「地域の強みを活かした学習支援と家庭学習の改善(富士見中・曽根原好彦)」,「小中一貫をベースとしたオオクワガタCSの取り組み(大桑中・松下設吉)」で構成されている。
そのほか,主張「忘れてはいけないもの」小松美穂,私の尊敬する先生「ひきつける力」小柳由紀子,青年教師のゆめ「二年目の今」黒岩香菜,この道を歩む「国際社会に必要とされる人材育成の在り方」藤森順三と,教育に関わる者として大事にしたいことが伝わって来て,素直に読み終えることができた。