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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その773

「指導と評価2017年10月号」 (図書文化 定価:450円)

 学習評価は,新学習指導要領の実現に向けて避けて通れない重要事項である。色々なこと(学教法30条第2項,資質・能力の3つの柱,学習指導要領の目標の構造)から推測するに,観点別評価の観点は,どうやら「知識・理解」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」になりそうである。

 今号の特集は,「新学習指導要領とキャリア教育」で,現代の教育諸課題の1つを解明するものである。従来,キャリア教育は進路指導と矮小化されるきらいがなくはなかった。本誌では,キャリア教育の本来の意味を踏まえて具体的にどのように進めたらよいものか明らかにしている。

 巻頭言「世界に誇れる日本型キャリア教育実践の機会の到来(筑波大学教授藤田晃之)」,「キャリア教育の道筋から見えてきたものは―学習指導要領の変遷からみたキャリア教育の課題と対応―(NPO日本教育カウンセラー協会理事長池場望)」,「キャリア理論とキャリア教育(関西大学教授川﨑友嗣)」,「キャリア教育による学習意欲の向上―自律的学習動機,学習意欲,進路成熟,自己効力感―(上越教育大学准教授山田智之)」,「個人資料・情報収集のためのツール(愛知教育大学名誉教授坂柳恒夫)」,「学校におけるキャリア教育の展開(早稲田大学教授三村陸男)」,「キャリア教育とキャリア・カウンセリング(追手門学院大学教授三川俊樹)」と,読み応えがある。単に読解するにとどまらず,自校の実態を重ね合わせて,基本を踏まえた自校流のキャリア教育の実践につなげたい。

 また,連載記事「新教育課程の評価を考える:観点の統合と知識・技能,パフォーマンス評価:スタンダードとルーブリックの違い,新しい教育評価の動向:形成的評価,対話的学習とハーバーマス(鈴木秀幸)」,「コミュニケーション能力育成としての英語教育:小学校の外国語教育におけるモジュール学習の在り方(渡邉寛治)」,「理科におけるキャリア・ガイダンス:理科学習と職業・生き方と結び付ける(大関健道)」など,充実している。