ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その1002

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その1002

有働由美子著「ウドウロク」 (新潮文庫 本体:520円)


 あちこちで何かと話題になっている女性のエッセイなので,「さてどんなものか?」と,興味本位だけで手に取った。

 本書は,この文庫本のために書き下ろした「大人になってからの失恋」から始まる。恋なんて理性であれこれするものではない。感情の赴くままに素直に恋すればいいのである。うまくいくのも,失恋するのも,うやむやになるのも,そのつどの「結果」であって,それはそれで素直に受け入れればいいのだ,と思ってしまった。

 内容は,1「いろいろな人から,いろんなことを言われました(男社会で長く生き過ぎ,一緒に住むの?好みの男性など7編)」,2「一生懸命生きてきました。ええ,仕事に(結婚式司会の最大の懸案,独居中年の高熱,NYなんて仕事なんてなど7編)」,3「酒がなかったら,この人がいなかったら......(母の事,親父,チョーさん,本と酒など6編)」,4「黒ウドウ(他人の彼氏は見えてしまう,クロウドウなど5編)),5「白ウドウ(小心者シリーズ➀お見合い編,同➁昔の恋の捨て方編,一人遊びなど6編)」,「おわりに」,「文庫版あとがき(感想:もっとスカッとけじめをつけたほうがいいのに!)」と,多くを期待しないで読むと,意外と,「そうなのか!」と得るものがあるように思える不思議な1冊であった。