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書評:小島宏の気になる1冊その1030

「毎日ムック 新版戦後50年Post War 50 Years」(毎日新聞社 本体:2718円)


 本書は,1995年発行で,400余頁の大冊である。表紙を美空ひばりのデビュー当時,鉄腕アトム,紙芝居に群がる質素な身なりの子供たち,力道山,長嶋茂雄,石原裕次郎,高倉健,吉永小百合,原節子,藤純子,稲生和久,白井義男,白鳳,フーテンの寅さん渥美清,(あと一人は名前が思い出せない)と懐かしい写真が飾り,70年前(1945年=昭和20年~1994年=平成6年)からを写真と簡潔な説明で日本史(大げさすぎるかな?)を振り替えられてくれる。このころを幼児,はなたれ小僧,小学生,中学生,高校生,大学生,そして教師になって...の50年を重ねてみて,何とも言えない充実した気持ちになった。(もう,市販されていないので,暇を持て余した折に,図書館などでご覧ください。)

 表紙をめくると,長崎の1945年8月の爆心地の写真,広島の爆心地の被爆前と後の写真,被爆者の正視できないほどの悲惨な写真が紹介されていて,暫くぼ~っとしていた。中学時代に,ぶち抜きのにわか作りの教室で,広島や長崎をテーマにした映画を観て,「戦争は絶対しては駄目だ!」と友人と語り合ったことを懐かしく,苦く思い出す。

 そして,「戦後は,月面のような廃墟から始まった」と,焼け跡,焼け跡の写真がこれでもかこれでもかと続いていく。それから15年間(昭和30年代後半頃まで)は,日本中が貧しく大変な時代だった。写真を見て,自分のそのころを重ね観て,改めて確認した。

 少し,生活が楽になってきたのは1964年の前の東京オリンピック頃からである。本書の写真(カラー写真が登場)でもそのことが確認できる。カラー映画が盛んになってきたころで,「ゴジラ」「七人の侍」「嵐を呼ぶ男」「二十四の瞳」「君の名は」「キューポラのある街」「ギターを持った渡り鳥」,漫画では「鉄腕アトム」「少年ケニア」「赤胴鈴之助」「イガグリくん」「リボンの騎士」と,あ~たまらない。

 きりがないので,これで紹介は終わる。本書をめくりながら,暫くは楽しめそうである。