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書評:小島宏の気になる1冊その1049

高橋俊之・舘野泰一編著「リーダーシップ教育のフロンティア」(北大路書房 本体:2200円)


 現在,「リーダーとは?」,「リーダーシップとは?」,では「リーダーシップはどのように育てたらよいか?」ということに大きな関心を持っている。おぼろげながら分かっているつもりであるし,断片的にはいろいろな情報を持っているつもりである。でも,自信がないので,あれこれと資料を集めて硬くなった脳を叱咤激励しているところである。そこで出会ったのが本書である。

 リーダーシップは特定の子どもに育てるのではなく,全ての子供に対してリーダーとなる資質・能力を育てる学習と経験をさせるべきだと思っている。もちろん,学校にあっては,管理職だけでなく全ての教職員がそれぞれの公務分掌に応じて,リーダーシップを発揮すべきであるし,リーダーとしての資質・能力を身に付けるべきだと考えている。

 本書は,これまでのリーダーシップの一般的なイメージ「〇〇長(例:理事長,社長,校長)やカリスマ(注:非凡な人,英雄,超人)だけが発揮する引っ張る・まとめる,1人が発揮する,天性のもの」から,これからは「すべての人が発揮する,目標達成のため他のメンバーに影響を与えるあらゆる行動,みんなで連動しながら発揮する,学習可能」と変換すべきだとの発想で考えていることに新鮮さを覚えた。直接的には,高校生・大学生・社会人を対象にしているが,小中学校の児童生徒のリーダーシップ教育にも多くのヒントを与えてくれる。

 内容は,序章「リーダーシップ教育最前線」,第1部「リーダーシップ教育の全体像(2章で構成)」,第2部「リーダーシップの具体的な教育方法(4章で構成)」,第3部「リーダーシップ教育のイシュー(4章で構成,注:イシュー=Issue,本質的論点・課題)」,終章「リーダーシップ教育の未来展望」で構成されている。