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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その1052
丸谷才一著「完本 日本語のために」(新潮文庫 本体:550円)
著者の言いたいことは,目次を見ただけで十分に伝わってくる。
「まへがき」。ⅰ「国語教科書批判」1「子どもに詩を作らせるな」,2「良い詩を読ませよう」,3「中学生に恋愛詩を」,4「文体を大切にしよう」,5「子どもの文章はのせるな」,6「小学生にも文語体を」,7「中学で漢文の初歩を」,8「敬語は普遍的なもの」,9「文学づくのはよさう」,10「文部省にへつらうな」。ⅱ「日本語のために」-「未来の日本語のために」&「現在の日本語のために」。ⅲ「国語教科書を読む」1「分かち書きはやめよう」,2「漢字配当表は廃止しよう」,3「完全な五十音図を教へよう」,4「読書感想文は書かせるな」,5「ローマ字よりも漢字を」,6「漢語は使ひすぎないやうに」,7「名文を読ませよう」,8「子どもに詩を作らせるな」,9「古典を読ませよう」,10「話し上手,聞き上手を育てよう」,11「正しい語感を育てよう」。ⅳ「言葉と文字と精神を」。ⅴ「大学入試問題を批判する」-「K大学法学部は試験をやり直せ」&「小林秀雄の文章は出題するな」。付録「歴史的仮名づかひの手引き」,「和語と字音語の見分け方」,「わたしの表記法について」,「言葉は単なる道具ではない」大野晋。聞き手湯川豊「日本人はなぜ日本語が好きなのか」。
日本語を大事にすることとはどのようなことか,国語教科書はどう編集すべきか,国語の授業はどうあるべきかを考えさせてくれる。学校の先生方,TVのアナウンサー,人前で話すの機会の多い政治家や識者,人気タレント,教科書編集者&著者などに,是非一読をお勧めしたい。