ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その1061

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その1061

「教育展望2018年10月号」(一般財団法人教育調査研究所 本体:448円)


 学校教育は,情報化とAIによってどのような影響を受け,「指導内容」と「指導方法」にどのような変化が生じるのだろうか。最近のSociety5.0(サイバー空間とフィジカル空間の融合した人間中心の社会)の到来を身近に感じ不安気味の期待を感ずるこの頃である。

 そんな折,今月号の特集は「教育の情報化の動向と課題」で,誠に時宜を得た特集で,その内容は以下のとおりである。

東京学芸大学教授松田恵示「with AIの時代の学校教育」,横浜国立大学教授野中陽一「情報教育の位置づけと情報活用能力の育成について」,信州大学教授東原義訓「教育の情報化の推進―国・地方自治体・学校・家庭の役割と連携―」,文科省情報教育振興室長・初中局視学官安彦広斉「新学習指導要領における情報活用能力の育成~22世紀まで生きる子どもたちに必要な力とは~」,東北大学教授堀田龍也「主体的・対話的で深い学びに向けたデジタル教科書の法制化」,東京都小金井市立前原小学校長松田孝「プログラミング教育は,新しい表現メディア!―自由に,大胆に,思い切り表現しよう―」,筑波大学教授川島宏一「Society5.0実現に向けて必要となる教育の方向性」と,読みこなすのに少々時間はかかるが,示唆に富む情報がぎっしり詰まっている。

 また,広島文化学院教授時津啓「提言:SNS時代の情報リテラシー―過剰なコミュニケーションへの対応―(SNS時代,キャラ重視のコミュニケーション,情報リテラシーの再定義に向けて,SNS時代の授業―一致の論理を超えた情報リテラシーの習得―)」からも多くのことを学ぶことができる。

 リーダーシップを発揮して,情報教育を推進する管理職,情報教育の担当者,教室の中で児童生徒の情報教育を実際に進めていく教師に,一読をお勧めしたい1冊である。