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書評:小島宏の気になる1冊その1065

佐藤孝子著「深海生物大事典」 (成美堂出版 本体:1500円)


 深海の生物は,いまだにその大部分は謎に包まれ,その姿や形はもちろんのこと生態がはっきりしていない。最近,TVなどで話題になることもあって,孫の本棚にあった本書を引っ張り出して,眺めてみた。

 見開き2ページで,右ページに深海生物の鮮明なカラー写真,左ページに名前(学名),分布,活動している水深,主な主食,体長,特徴や現在分かっている生態などが簡潔に解説してあり,見て楽しめ,読んで少し物知りになるような工夫がしてある。

 構成は,序章「深海の世界」,第1章「中層(200~1000m)と漸深海底帯(200~2000m)」,第2章「漸深層(1000~3000m)」,第3章「深層・超深層(3000m以深)と深海底帯・超深海底帯(2000m以深)」「鯨骨生物群集」「湧水域・熱水噴出域の生物群集」となっている。

 本書の最初の部分には,話題の「世界最大級の等脚類のダイオウグソクムシ」,「世界最大級の無脊椎動物のダイオウイカ」,「巨大な口を持つが,おとなしいメガマウスザメ」が,大きな写真付きで紹介されている。多くの生物の詳しい紹介は,魚,クジラ,ホヤ,ナメクジウオなど「脊索動物門」46種,ヒトデ,ウニ,ナマコなど「棘皮動物門」8種,イカ,タコ,貝など「軟体動物門」22種,エビ,カニ,ウミグモなど「節足動物門」9種,ゴカイ,ハオリムシなど「環形動物門」6種,クダクラゲ類など「有櫛動物門」5種類,クラゲ,イソギンチャクなど「刺胞動物門」11種,微生物,ギボシムシ,カイメンなど「その他」6種が,分類されて紹介されている。

 よくもこれだけの貴重な写真と情報を集めたものである。一読(一瞥)に値する1冊である。