ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その1068

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その1068

白石範孝著「これで安心!初等教育実習アクティブノート」(学事出版 本体:1800円)


 本書は,小学校の教員になるための教育実習を大学で学ぶために作成されたノートである。高齢者の自分にも学生時代もあり,若手教員の時代があった。したがって,小学校と中学校で教育実習をしたこともあり,教育実習生(毎年学級に年間3回20人前後,10年間)を受け入れた経験もあるので,自分の体験と重ねながら読んでみた。

 自分が教育実習をしたときは,「教育実習日誌」が配布され,毎日見開き2ページに,「月日,曜日,天気,始業前にしたこと,指導教官などの授業参観の記録と分析・所感,給食のこと,休憩時のこと,清掃のこと,特別活動,その他,1日の実習の記録と所感」&「指導教官からのコメント」を記録していた。

 教育実習生を受け入れていた時は,「教育実習参考資料(教育実習の要領と心得,学校概要,生活指導,安全指導,保健指導,視聴覚教育(現在のICT教育),図書館教育,進路指導(現在のキャリア教育),各教科等における観察・指導の要点と留意点,日誌の書き方・利用の仕方,各教科等の指導案の例など)」と「教育実習日誌」を配布し,4週間を「良いところをほめながら」もっと良くなるために「少し注文を付ける」という指導に努めたものである。

 本書は,大学で,実習前にどのようなことを学んだらよいかを,実際に考えて,ノートに書き,それをグループによるディスカッションで,深めていけるように工夫されていて,「主体的・対話的で深い学び」に教育実習を学ぶようになっている。「教師とは何か?」「教師としての立場」「教育実習生の立場」「教育実習の意義」「挨拶」「児童への接し方」「保護者対応」「受け入れ前の準備」「授業づくり」「学級経営」「学級事務」などが網羅されており,教育実習の事前指導をする大学の教官,実際に教育実習生を受け入れる教師の準備として,教育実習に行く学生の事前学習として役立つように構成されている。