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教育研究所
書評:気になる1冊1086
内田良・苫野一徳共著「みらいの教育―学校現場のブラックからワクワクへ変える」 (武久出版 本体:1500円)
学校は,今やブラック企業に例えられるような状況にあり,多くの教職員が身体的にも精神的にも追い詰められている。そのような状況に対して,一石を投じた1冊である。
第Ⅰ部は両氏の対談で,「みらいの教育に向けて」で,「研究者は手を取り合おう(教育哲学者と教育社会学者,アカデミズム全体で取り組む,教育現場の対話のはじまり)」「教育の特集性は論駁できる(公教育は市民社会の最も重要な土台,長時間労働解消のカギを握る給特法」「公教育の構造転換は起こせる(信念対立の根底にあるもの,慣習的システムの問い直し,ワクワクできる学びの場づくり)」について,ちょっと学者っぽいが,「なるほど感」のあることを語り合っている。
第Ⅱ部は論文で,苫野一徳「教師という仕事の本質-教職の「特殊性」論の批判」,内田良「教育という特殊の世界-献身性と給特法の共犯関係から考える」と,論理で本質に迫っている。
第Ⅲ部は資料で,藤川伸治「補説・教職員にも「生活時間」が保証される働き方の実現を!-給特法制定の経緯から」,「資料・公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)条文」が引用してある。 (H&M)