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教育研究所
書評:気になる1冊1087
「総合教育技術2018年12月号」 (小学館 定価:1129円)
2020年を控え,オリパラ一色ではなく,学校は新学習指導要領の全面実施へ向けて教育課程を改善している。
したがって,全面実施に向けて,今号の「総力大特集」は,主体的・対話的で深い学びを実現する「総合・特活を生かしたカリキュラム・マネジメント」である。その内容は,PART1は「教科横断的視点がカギ!新学習指導要領が求める新教育課程をどう作るか?」で,リード文「カリキュラム・マネジメントの考え方と手順・教科と教科,単元と単元を総合と特活を軸につないでいく」,識者インタビュー①田村学「子供のためにという視点を持ちよさを引き出し,教師の指導性を転換する」,②稲垣孝章「往還関係を意識したカリキュラムの中で他者とのかかわりあいを通して学びを深める」である。
PART2は「総合・特活の活用事例レポート各教科等との連携で実現する主体的・対話的で深い学び」で,実践レポート①横浜市立日枝小学校「総合的な学習の時間や生活科を利用した体験重視のカリキュラムを作成」,②「総合,特活,道徳を各教科とつなぎ校訓をベースとした創造的な学びを実践」,③戸田市立喜沢小学校「自分もよくみんなもよい集団活動を通して学びに向かう力・やりぬく力を育成」,④浪江町立浪江小学校「地域の人々に学び地域の未来を考える「ふるさとなみえ科」で生きる力を育む」と,充実している。ただし,極端に総合と特活に特化することがないように気を付けながら,各教科等の関連で読み解いていくと,多くのヒントが得られる。
特集2は,分かっているけれどこれという案も,事例も見えてこない働き方改革に関するもので,「教師のメンタルヘルス最前線・心の働き方改革で創る活気のある学校」で,提言「学校でストレスチェックの結果を活かし環境も含め,対策を考える必要がある」宮下敏恵,教育委員会の取組「教職員専門のカウンセラーが学校を訪問し市教委と連携して教職員の悩みに対応」川口市教育委員会,管理職がすべきこと「日頃の声掛け,即時評価などにより教職員と1対1のコミュニケーションを」玉置崇,教師の幸せを考える「技術を得ることが幸せへの近道!技術を持ち授業で充足することが教師の幸せ」森川正樹と,ここには納得できる言説である。でも,後期高齢者の固い頭では,物理的な意味での働き方改革ができなければ,精神論になってしまい,「ものは考えよう」になってうやむやにならないかいささか気になった。 (H&M)