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教育研究所
書評:気になる1冊1097
中村圭介著「AI×人口減少 これから日本で何が起こるのか」(東洋経済新報社 本体:1500円)
著者によると,AIの普及によって2020年代半ば頃には,人余りが顕著になるそうである。現在の人手不足の深刻さからAIの脅威に鈍感になってしまい,外国からの人材導入と対応に齟齬があるというのである。そして,ジワジワと進行する日本の人口減少にこそ,もっと危機感を持つべきだと警鐘を鳴らしている。(「はじめに」を自分流に解釈)
これから「AI×人口減少(両者が相乗的に作用して,大きな社会問題になるという意味で,かける×を使っているものと考えられる)」を,どのようにとらえ,どのように考え,どう対処すべきかを様々に教えてくれる。少し大げさすぎるとお叱りを受けそうであるが,学校教育の育成すべき資質・能力及び指導内容についても考えなければならない。
第1章「人口減少という静かなる危機(日本の人口推計は過酷な未来を暗示する,なんでも先送りではこの国は重大な危機を迎えるなど8節)」,第2章「私たちの社会はどう激変するのか(今のままでは日本は2042年問題を乗り越えられない,消費や所得が伸びない時代・経済成長率が低迷する時代になど7節)」,第3章「破壊的イノベーションが何をもたらすのか(AIビッグバンが雇用の脅威になるわけとは,マニュアルのある普通の仕事は激減が避けられないなど8節)」,第4章「私たちの仕事はどう激変するのか(新しい技術革新が格差拡大をいっそう推し進める,日本の失業率はオリンピック後に上昇に転じるなど7節)」,第5章「人口減少に打ち勝つ方法はあるのか(地方自治体は特色や強みを生かして勝負すべき,地方大学の改革が少子化対策のカギとなるなど7節)」,第6章「AI社会とどう向き合うべきか(第4次産業革命と民主主義を両立させるためには,AIと闘ってはいけないAIは利用していくものだなど3節)」と,目次をざっと眺めるだけでも,何かわかったような気がする。
注:第1次産業革命は1700年代後半~1800年代前半に手作業から蒸気機関による動力の活用,第2次産業革命は1800年後半に電力を動力に利用,第3次産業革命はコンピュータを用いた機械の自動化,そして第4次産業革命(インダストリー4.0)はIoTやAIやロボット技術などにインターネットという世界的インフラを加えた変革である。(H&M)