ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:気になる1冊1099

教育研究所

書評:気になる1冊1099

国土交通省総合政策局安心生活政策課「障害ってどこにあるの?こころと社会のバリアフリーハンドブック」,同「同<教師用解説書>」 (ホームページからダウンロード可能)


 私たちの身の回りには,ほんの少し気を付けてみると様々な「バリアフリーに関するサインやシンボルマーク」のあることが分かる。

 具体的には,車いすのマーク,目に障害のある人のためのマーク,ベビーカーマーク,耳マーク,ハート・プラスマーク,ほじょ犬マーク,ヘルプマーク,オストメイトマーク,運転車両標識(身体障害者標識,聴覚障害者標識,高齢運転標識),電車やバスの優先席マーク,展示パネル,道路や駅のホームなどの点字ブロック,等々たくさんある。

 でも,人々がこれらの意味を理解し,優しい思いやりや支援の行動がとれなければ,全ての人が,誰もが安心,安全な生活を送ることができない。

 そこで,「こころと社会をバリアフリー」にして,住みやすい社会にしようとして作成されたのがこの冊子である。この冊子の中身のみならず「作成の意図する優しい心」に学び,支持し,行動に移したいものである。

 本書の内容構成は,次のようになっている。多くの学校で活用し,「こころと社会のバリアフリー」の実践者になる教育を実現したいものです。

 「バリアを考えるうえで重要な視点となる「社会モデル」を理解しよう」,「バリアってなに?身近にあるバリアについて考えてみよう」,「障害のある人が直面している「バリア」を知り,自分に何ができるか考えよう」,「まちにあるバリアフリーの工夫について見てみよう①」,「まちにあるバリアフリーの工夫について見てみよう②」,「まちにあるバリアフリーの工夫について見てみよう③」,「こころのバリアフリーを考えよう」,「困っている人を見かけたら,声をかけてみよう!」,「どんなコミュニケーションが必要でしょうか?」,「障害の社会モデルの考え方は法律で定められています(障害者基本法,障害者総合支援法,障害者権利条約,障害者差別解消法)」。

 教師用解説書は,「障害ってどこにあるの?こころと社会のバリアフリーハンドブック」を活用して指導する際の,詳しい説明及び指導の仕方が具体的に解説してあり大変役立つ。特に,冒頭には,学習内容,学習目標,教師の指導・支援など実際授業の展開例が紹介されている。

 なお,「こころのバリアフリー」に関することは,新小学校学習指導要領の「総則(学校運営上の留意事項)」,「道徳科(第2内容B相互理解・寛容,C公正・公平・社会正義)」,「特別活動(第3指導計画の作成と内容の取扱い)」で触れられているが,その他各教科等においても「こころのバリアフリー」に関わる指導を充実する必要がある。(H&M)