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教育研究所
書評:気になる1冊1103
「指導と評価2019年2月号」(図書文化 定価:450円)
1月の下旬,A区立B小学校の校内研究に参加した。授業を観察する前に,C校長先生から「実は,この学級にはADHDのD君がいて,授業がしばしば混乱することがある」と説明があった。
しかし,実際の授業は,落ち着いたもので充実していた。C校長先生曰く「今日は珍しくD君が落ち着いていたし,ほかの子供たちも集中できていた。普段もこうだといいのだが・・・」ということだった。私は「D君も,学級の子供たちも,今日の姿が本物です」,そして「普段の生活や学習で工夫すれば,今日の姿がいつも見られるようになります」と付け加えた。子供を否定的に,固定的に見ないでほしいものだ。
今月号の特集は「気になる子が輝く学級」で,学校生活や学習指導で最も重要な課題を取り上げている。巻頭言で名城大名誉教授曽山和彦が「ハンカチのほつれた糸を持ち上げても糸が切れてハンカチは持ち上がらない。ハンカチ全体を持ちあげれば糸も持ち上がる」を引用し,学級経営の重要性を述べて,気になることと学級経営の関係を見事についている。
東京福祉大学准教授深沢和彦「気になる子が育つ学級づくり」,埼玉大学准教授名越斎子「気になる子のよさを見つけるアセスメント」,北海道大学後期博士課程岩田みちる「強みを活かしたLDの支援」,横浜市立城郷小教諭藤井園子「LD児の在籍するクラスの学級経営」,立教女子学院短期大学専任講師小林玄「ADHDの特性をプラスに活かす」,那須塩原市立東原小教諭丑越信子「ADHDの特性をプラスに活かす学級経営」,作新学院大学准教授に高茂暢「ASDの特性をプラスに活かす」,昭島市立拝島第三小教諭野澤和恵「ASDの特性をプラスに活かす学級経営」と,充実している。
連載も,川村茂雄「学校のPDCAサイクルを推進するミドルリーダーの活動の実際」,鈴木秀幸「教育課程の評価を考える」,平良木洋「キャリア教育の視点でつくる新しい学習活動」,藤田晃之「社会に開かれた教育課程におけるキャリア教育の役割」等々と,多くのことが学べる。(H&M)