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教育研究所
書評:気になる1冊1109
「リーダーズ・ライブラリー 9号」 (ぎょうせい 本体:1350円)
学校の危機管理には,第一に「子どもの生命・身体の安全確保」がある。これに関連して,具体的には「急病やケガ,持病やアレルギー,いじめ,不登校,虐待など」に関わる危機管理である。最近読んだ「新学習指導要領を推進する学校マネジメント(学事出版)」の中でも,第一に「子どもの生命・身体の安全確保」,以下「学力の危機管理」「人権・個人情報の危機管理」「教育課程の危機管理」「保護者との連携の危機管理」「教職員の危機管理」を求めている。
今号の特集は,「子供の危機管理~いじめ・不登校・虐待・暴力にどう向き合うか~」と時宜を得たものである。最近,幼児・児童が虐待で尊い命を失い夢を絶たれる事件が連続して発生し,後を絶たない。学校(教師)は,自分事と捉えて,対処する必要は,TVのコメンテーターの厳しいコメントを待つまでもない。
具体的な内容は,インタビュー「心を揺さぶるカウンセリングでネット社会の闇から子どもを救う」全国webカウンセリング協議会理事長安川雅史,論考「いじめ防止と事後対応の今」八並光俊,「元不登校「引きこもり」から考える不登校への新たな取組と課題~民間相談員の具体的提言」富田富士也,「児童虐待に学校はどう向き合うか」加藤尚子,「対教師暴力への対応」森谷長功,提言message「ユニバーサルデザインとしての特別支援教育を活かした指導を」小栗正幸で,とかくおざなり,表面的な指導・対応になりがちな傾向に「喝」を入れてくれる。
連載では,佐藤晴雄「地域連携のリーダーシップ」,天笠茂「カリキュラムマネジメントと学校評価」,大野祐己「中堅・ベテラン教員の育成」,奈須正裕「もう一度「子どもが学ぶ」ということをしっかりと考えてみる」,田村学「教育課程における総合的な学習の時間の位置づけと役割」,渡辺敦史「AI時代にこそ必要な教科書を読める力」等々が読みごたえがあった。(H&M)