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教育研究所
書評:気になる1冊1115
桂かい枝著「桂かい枝のLet's英語落語!」 (教育出版 本体:1300円)
最近は,たっぷり時間をかけて1つの落語を楽しむ機会が減っている。落語にしても,漫才にしても数分の短時間でほんのさわりを演じるだけで,本物の面白さからほど遠いと言わざるを得ないと感じているのは,私だけであろうか。
そんな時,本書を目にした。「どうせ......」「落語の話芸を英語で表現できるだろうか?」と,失礼ながら疑いつつ読んでみた。
「うん,これなら,英語の学習になりそうだ」「英語を楽しく学ぶきっかけになるかも...」と感心してしまった。易しい英語の表現で,吹き出すほどではないが「あ~面白い!」「これなら,『落語の落ち』が分かる」というものが,ちりばめられているからである。
英語の表現に,日本語訳がついているので,十分に楽しめかつ英語の学習になる。小学校の高学年や中学校1年生にお勧めしたい。が,「動物園The Zoo」はいいとしても,「松山鏡The Matuyama Mirror.」は子供には分かりにくいかもしれない。勿論,英語の苦手な高齢者にも楽しめる1冊である。
「Let's英語落語!~きほん編~」Lesson1「落語の約束ごと」,Lesson2「一口小噺トレーニング」,Lesson3「英語で小噺にトライ!(小噺の例「初めての手術」,小噺の例「ケチ」,小噺の例「美術館にて」)」,Lesson4「落語の表現いろいろ」と,基本を理解させてくれる。「Let's英語落語!~じっせん編~」は「動物園The Zoo」で,15の落語(動物園を事務所の男が訪ねる,園長の面接を受ける男,園長がトラの毛皮を持ち出してくる,トラの毛皮を着てみる男,トラの歩き方の見本を示す園長,男はトラになって折に入る,子供のドーナツに目がいくトラ,頭をめくってドーナツを食べるトラ,客を驚かせようとするトラ,場内放送を聴くトラ,トラの檻の前でしゃべる司会者,ライオンがトラの檻にやってくる,近づくライオン,ライオンが男にささやく)で,「松山鑑The Matuyama Mirror.」は10の落語(親孝行の庄助に代官が褒美を使わそうとする,亡くなった父に会いたいと頼む庄助,代官が庄助の望みについて思案する,鏡を見て驚く庄助,代官から鏡をもらい受ける庄助,庄助の様子を怪しむ女房,鏡を見つけて怒る女房,言い合いになる庄助と女房,庵主が夫婦ゲンカの仲裁に入る,庵主が鏡を見る)で構成されていて,楽しみながら,英語が少しだけ学べる。「良い子の皆さん!」英語が楽しいと思えたら,もっと面白くなるように勉強してください。 (H&M)