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教育研究所

書評:気になる1冊1129

佐藤真澄著「小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅」 (汐文社 本体:1400円)


 日本の宇宙ロケットの研究は,「日本のロケット開発の父」と呼ばれている糸川英夫博士のペンシルロケット(鉛筆のように細く短いロケット)から始まった。

 JAXA(ジャクサ)が開発した「はやぶさ」が,2003年5月9日午後1時29分25秒に打ち上げられてから,イトカワに到達し,サンプルを地球に持ち帰ったのは,2010年6月13日午後10時51分で,実に7年間60億㎞という長期の旅であった。この科学的な功績は,世界の注目を集めた。本書は,その一部始終を写真や図などを用いて平易にまとめたもので,小学校高学年以上の子供にお勧めしたい。そして,科学の面白さを味わって,いろいろな方面の研究に夢をふくらませてほしい。

 内容は,「プロローグ(ハヤブサの帰還を待つ瞬間など本書のあらすじ)」「1.いくつのも世界初を背負って」「2.航海のはじまり」「3.第一のゴールとハプニング」「4.小惑星イトカワでのミッション」「5.絶体絶命」「6.執念の復活」「7.地球への帰還」で構成されており,読みやすく,「はやぶさ」を無事返すためにJAXAの人たちが,考え,工夫し,粘り強く取り組んだ「ドラマ」に,きっと感激することでしょう。

 ところで,先日(2019年2月22日),小惑星探査機「はやぶさ2」が地球から3億㎞の距離にある小惑星「リュウグウ」の着陸に成功した。岩石を採取して地球に帰還し,生命の存在や宇宙の起源に関する研究が期待されている。夢は,太陽系を超えて大きく膨らんでゆく。著者に,「小惑星探査機「はやぶさ2」宇宙の旅」も是非お願いしたい。(H&M)