ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:気になる1冊1139

教育研究所

書評:気になる1冊1139

「初等教育資料2019年3月号」 (東洋館出版 本体:540円)


 【開かれた教育課程】(教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会が共有し,それぞれの学校において,必要な教育内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくこと)と,【カリキュラム・マネジメント】(児童生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき意図的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと)については,意味は分かるが,「何を」「どうすればいいのか」という具体的なレベルで,学校現場はいまだに悩んでいる。

 今月号の特集Ⅰは,このことに焦点を当て,「地域と連携・協働したカリキュラム・マネジメント」をテーマに,以下のような内容構成で,管理職及び教務主任などのミドルリーダーの渇望していることに応えている。

 解説「地域と連携・協働したカリキュラム・マネジメント―社会に開かれた教育課程の実現に向けて―」文科省教育課程課,論説「地域と連携・協働したカリキュラム・マネジメントの充実」天笠茂,事例1「教科等横断的な視点からのカリキュラム開発と発信」横浜市教育委員会,事例2「企業と連携した教科等横断的な視点からのカリキュラム開発」広島県府中市教育委員会,事例3「地域とともに取り組む教育課程の評価・改善」京都市立安朱小学校,事例4「学校運営協議会及び実働組合を軸とした社会に開かれた教育課程の実現」福岡県春日市教育委員会,事例5「地域の大学と連携した教員研修等の質的充実」静岡県富士市教育委員会。

 特集Ⅱのテーマは,国語「語彙指導の改善・充実の在り方について」で,以下のような内容構成で,国語教育の語彙指導について具体的な事例を通して論じていて役立つ。
 解説「小学校国語科における語彙指導の改善・充実のポイント」文科省教科調査官菊池英慈,事例1「複数の場面の語句や叙述を結び付けながら具体的に想像する授業実践」田畑彰紀,事例2「低学年から国語辞典に慣れ親しむ環境づくりと授業への活用」大庭優子,事例3「言語活動を通した語彙力の育成」皆川美弥子,事例4「学校全体で取り組む語彙を豊かにする活動」中邑あづさ,事例5「語力習得力を育てるための単元づくりと学校独自のカリキュラム・マネジメント」中村奈々。

 また,指導主事Naviや特別支援教育,幼児教育などの連載記事,働き方改革の推進などの教育ニュースなども充実している。 (H&M)