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教育研究所
書評:気になる1冊1145
鹿毛雅治監修・福岡大学附属小倉小学校著「自ら問い続ける子供を育てる授業~「問いたくなる」情況づくりと学び合い~」 (教育出版 本体:2300円)
新学習指導要領の完全実施を目前に控え,各学校・教師の授業の改善・充実&創造・開発の動きが活発化している。「新学習指導要領を推進する学校マネジメント」という書名の本が出版されるなど,学校経営の視点からのものはあるが,本書のように「授業」に焦点化したものは貴重である。
「自ら......」と言いつつ,結局「教えて考えさせる」ということに陥ることが少なくない。ところが,本書では,「これからの社会に応える人材」の中核を「自ら問い続ける姿」として「生涯を通じて学び続ける力,他者と協働・協調できる力」を基盤にした「情報化社会に対応できる人材,社会を生き抜く力を備えた人材,国際社会で貢献できる人材」と捉え,その具体的姿を「学びの主体化,学びの協働化,学びの深化」&「問いを持ち粘り強く取り組む,仲間と共に学び合う,見方・考え方を働かせて問い直す」と,明確に捉えて,授業として具体化している。特に,単元展開を「自ら問いをもつ。問題解決の見通しを明らかにする。」→「問題解決に向けて問いを連続・発展させながら挑む。」→「学び方の適用範囲を広げる。見方・考え方・感じ方を関連した事象に生かす。」の3つの段階に焦点化してモデル化したことは画期的で,参考になる。
本書を熟読・精読し,学校が陥りがちな「0からの出発」をやめて,本実践を基盤にして校内研究を進めていくことをお勧めしたい。
Ⅰ:理論編1「なぜ,今「自ら問い続ける子供を育てる授業」なのか」,2「自ら問い続ける子供とは」,3「自ら問い続ける子供を育てる授業のポイント(状況づくり3つのポイント,学び合いの2つのポイント)」。
Ⅱ:実践編・授業展開例「国語科1&3年」「社会科5年」「算数科2&3年」「理科4年」「生活科1年」「音楽科2年」「図画工作科2年」「家庭科5年」「体育科1&4年」「道徳科6年」「総合的な学習の時間6年」「外国語活動3年」「外国語科3年」「学級活動6年」。
Ⅲ:運営編1「研究発表会に向けた取組(研究発表会の事務分掌,研究に関する各種検討会,研究協議会の在り方)」,2「日常的な取組(研究方針の共通理解,共通指導事項の設定,子供同士の学ぶ場の設定)」。(H&M)