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教育研究所
書評:気になる1冊1146
「総合教育技術2019年4月号」(小学館 定価:1180円)
2020年4月から新学習指導要領の完全実施である。あと1年というが,2020年度の学校経営案の作成,教育課程の編成を並行して進めなければならないので,「もう1年しかない」というのが本当のところであろう。
そこで今月号は,総力大特集「あと1年!新学習指導要領全面実施までのチェックポイント」を組み,学校・教師へチーム学校としての取り組みを促している。熟読玩味して,自校流の新教育課程の編成・実施のヒントにしていただきたい。
PART1「社会に開かれた教育課程&カリキュラム・マネジメントの確立へ!移行期2年目の年間計画この1年間ですべきこと―移行期2年目のスタートライン」編集部,情報の共有と役割分担を進め全教員が連携して全面実施に向けて備える」天笠茂,PART2「授業改善はこう進める!主体的・対話的で深い学び実現の道筋」,国語「学力を効果的に育成することを意識しその方法として言語活動の充実をめざす」吉田裕久,算数・数学「全面実施に向けて数学的に深い学びの実践を」清水美憲,理科「小学校,中学校の理科全体を俯瞰し見方を子どもたちに渡していく工夫を」田代直幸,社会「思考を促す学びを長いスパンで設定し,社会認識を持ち,社会参画できる子どもを育成」澤井陽介,英語「移行期2年目は,全面実施を見すえて教員たちが活きた経験を積む時間に」菅正隆,生活・総合「単なる調べ学習で終わらせるのではなく子どもたちに探究させることが重要」黒上晴夫と,各氏が解説している。クリティカル・リーディングをして,活用されたい。
特集2は,昨年4月に実施された学力調査結果の活用に焦点を当て,「重要なのは過去問対策ではない!全国学力調査を生かした学校改革・授業改善」で,学力調査の結果を上向きにするために「全国学力調査の傾向と対策」に腐心する学校・教師に「ちょっと立ち止まる」ことを勧めている。学力調査の前提としての「質の高い授業の実践」のために,クリティカル・シンキングをし,子どもたちに「質の高い学力の保証」に役立てたい。
提言1「全国学力調査の結果を活用するためには学校に明確なビジョンが必要である」鎌田首治朗,提言2「全国学力・学習状況調査を学校づくりのチャンスにする」赤坂真二,実践例1「校内研究を基盤に,専門性の高いOJTと学年単位の共通理解により授業改善へ」台東区立蔵前小学校,実践例2「安心感のある学級集団作りをベースに自分から進んで行動する児童を育成」さいたま市立大宮小学校。
その他,連載記事「やっぱり学校は楽しい」「未来を変える・学校の日常・改善アイディア」などや「今月の学級経営」なども充実している。(H&M)