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教育研究所

書評:気になる1冊1147

大谷俊彦著「学校経営マンダラートで創る新しいカリキュラム・マネジメント」(ぎょうせい 本体:2000円)


 学校経営をどのように構想するかは校長の誰もが悩むところである。一般的には目標とそれを達成するための要素を洗い出し,それらの要素の密接なかかわりを検討し,目標の達成を実現していく方策を目論んでいく。このことは企業においても学校においても同様であろう。私はこれまで,目標とそれを達成する要素を4つ設定し,A4用紙を4分割しその中央に小さな四角を乗せた形にして表現してきた(「新学習指導要領を推進する学校マネジメント」学事出版p19)。

 ところが,著者は,マンダラ―ト(マンダラチャートmandala chartまたはマンダラシートmandala sheetともいう),すなわち曼荼羅(mandala)が中央の仏様を中心にして放射状に8つに広がることにヒントを得て,小さな正方形9つで構成した正方形を曼荼羅に見立て,中央の正方形に目標を設定し,周囲の8つの正方形の中に達成するための方策を散りばめるということにしたのである。なるほど,このマンダラ―ト(発想を整理し,見える化し,思考を深めていくアイディア発想法)をもう少し早く知っていれば,学校経営方針をもう少し精密にできたかもしれない。実は,二刀流で注目を集めている大谷翔平選手は,高校時代にマンダラシートで一流選手になる見通しを立てていたということである(ネットで検索すると詳しくわかる)。

 第1章「これから求められる学校経営と新しいカリキュラム・マネジメント(カリキュラム・マネジメントの1丁目1番地は学校教育目標にあり,魅力的で独創的なキャッチコピーを考えよう,ゴールからの逆向き設計でPDCAを考えるなど5節)」,第2章「学校経営マンダラートの内容と活用(マンダラートの作り方,みんなで考えみんなで創るマンダラート,マンダラートの評価など7節)」,第3章「学校経営マンダラートから見る嶺北中学校の実践(新しい学習指導要領のキーワードから求められる学校像を探る,学力向上へのカリキュラム・マネジメント,部活動でのマンダラートの活用など9節)」と,具体的である。(H&M)