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教育研究所
書評:気になる1冊1149
石田勝紀&小宮山利恵子著「新時代の学び戦略―AI,スマホ,ゲーム世代の才能を育てる」(日本工業新聞社 本体:1500円)
AI時代に,人間はどのような存在になるのだろうか。AIと人間はどのように付き合っていけばよいのだろうか。そして,教育の在り方はどう考え,どのように進めたらよいものだろうか。「人間はその大部分をAIに奪われてしまい,もしかすると,その下僕的な立場になってしまうかもしれない。」「いや,AIが人間的存在になり,人間は神になるのだ」という人もいる。著者の石田氏は,「AIは人間の害にならない,害になるという考えこそが大きな害である」という。AIとの付き合い方,人間の在り方,教育の在り方,そんなこんなを冷静に,論理的に考えるために,クリティカル・リーディング&クリティカル・シンキングをすれば,この一冊は,多くのヒントを与えてくれそうだ。
2人の著者の対談に,あとで筆を加えてまとめたものらしく,IT用語にも注釈も付いていて,アナログ的傾向の強い人(私のような)にも十分読みこなすことができる。
第1章「AIは学びの最強の味方になる(AIと新しい学び)」AIの活用で,つまらないお勉強が楽しい学びに代わるなど11節。第2章「海外のテクノロジー活用教育はここまで進んでいる(海外の新しい学び)」VR/AR/MRによる教育効果など8節。第3章「日本のテクノロジー活用教育はどうなる?(国内の新しい学び)」テクノロジー活用教育発展途上国の日本など5節。第4章「ゲーム好きの子にはゲーミーフィクションを(ゲームと新しい学び)」ゲームは敵という昭和型の思い込みは捨てようなど10節。第5章「子供の未来のためのプログラミング教育(プログラミングと新しい学び)」なぜ,プログラミング教育は必要なのか?など9節。第6章「デジタルネイティブの子供との関わり方(大人と新しい学び)」学びの多様化で親の役割が変わる,テクノロジー活用教育で先生の役割も変わるなど10節。第7章「テクノロジーによって変わる未来(未来の新しい学び)」好奇心・想像力・デザイン思考力が武器になるなど12節。
なお,「おわりに」で小宮山氏が「未来は作るもの」と述べている。平成9年の東京都立多摩教育研究所K所長が所報の巻頭言で,「未来は向こうからはやってこない。未来は期待するものでなく創造するものだ。ないものは作(創)らなければならない」(パソコンの父と言われるアメリカのアランケイの言葉を要約引用したらしい)と書いてあったのを懐かしく思い出した。(H&M)