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教育研究所

書評:気になる1冊1150

「柳田國男全集・別巻1・年譜」 (筑摩書房 本体:11000円)


 民俗研究の柳田國男の硯学の思考を跡づける画期的全集として「柳田國男全集」全35巻(第1巻後狩詞記・石神問答,第2巻遠野物語・山島民譯集,第6巻秋風帖・桃太郎の誕生,第9巻昔話と文学・木綿以前の事,第12巻こども風土記・菅江真澄,第20巻妖怪談義・炭焼日記,第23~35巻単行本未収録作品・論考など)が既に発刊されている。

 それに続いて,「別巻1:年譜」「別巻2:補遺」「別巻3・4:書簡・索引」となっているが,本書は,第36回配本で,「別巻1」柳田学の全貌を年譜で示したものである。

 「別巻1:年譜」は,民俗学の柳田國男について地域で学び,自己認識を深めるとともに自らの生き方と地域の発展・充実を目的として活動しているグループ「常民大学」の運営委員である小田富英氏が中心となってまとめたものである。

 本書を実質的に編集・著作した小田富英氏は,この年譜から,新たな課題を見つける若い世代が出現していることに大きな喜びを感じていると感想を述べている。

 そして,「読む年譜」としてでなく,「課題を見つける年譜」として活用されることを願っていると,柳田國男の研究の継続と新たな展開に夢を膨らませている。既刊の6巻を含めて,柳田國男の民俗学と遠野物語などに関心のある人にはたまらない1冊である。 (H&M)