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教育研究所

書評:気になる1冊1151

外山滋比古著「知的な老い方」 (大和書房 本体:650円)


 あの外山先生が「今度は何を書いているのだろうか?」と,期待というより興味本位で本書を手にした。当年94歳(刊行時は93歳)というから,驚いた思考力,創作力である。

とは言っても,やはり後期高齢者及びその予備軍を対象にした作品である。でも,人生が少し分かり掛けてきた「令和の時代」に活躍する20代後半以降の人には,人生100年時代の生き方を見通す手掛かりになりそうである。

 現役時代は人生そのもの,退職後は第二の人生,そのあとの老後は余生にあらず「新しい人生」という著者の見方に妙に納得し,今後はそう考えることにした。内容は,エッセイ風で「新しい人生」を「前向きに生きる」ためのヒントが数えきれないくらい散りばめられている。

 「はじめに~人生100年時代をどう生きるか」,第1章「スタイリッシュ・エイジング~かっこよく年をとる(晩学に取り組む,60歳からが青春など6つの生きるヒント)」,第2章「生きがいのつくりかた(株式投資はおもしろい,人にご馳走するなど6つの生きるヒント)」,第3章「知的な生活習慣(朝を活用する,おしゃれをする,雑談が健康を生むなど8つの生きるヒント)」,第4章「緊張感をもって生きる(初心にかえる,子どもに苦労を教えるなど4つの生きるヒント)」,「有終―あとがきに代えて」という構成である。

 若い人には,やはり少し早いかな?と思わぬでもないが,後期高齢者と付き合う可能性のある人には,一読しておくと,高齢者から何かを引き出して自分の人生の糧とする何かが得られ,それなりに意味のある1冊である。
(註:Stilish agingとは,格好よく老いるということ。因みにその三原則は Never pass an invitation 招待を断るな,Entertain a lotどんどん人をもてなせ,By all means fall in love恋をせよ,だそうです。私には無理だ!!)(H&M)