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教育研究所

書評:気になる1冊1157

坂谷内勝著「わかる!小学校の先生のための統計教育入門」(ミネルヴァ書房 本体:2376円)


 新しい小学校学習指導要領の算数科では,例えば,現在及び将来の社会生活,特に経済・科学などの分野で統計資料に基づいて考えたり,判断したりすることが重要になることから「統計教育」を充実させるための改訂がされた。具体的には,D領域「データの活用」が新設され,中学校から指導内容の一部が小学校におりてきた。

 ちなみに,D領域「データの活用」のねらいは,「目的に応じてデータを集めて分類整理し,適切なグラフに表したり,代表値などを求めたりするとともに,統計的な問題解決の方法を知ること」「データのもつ特徴や傾向を把握し,問題に対して自分なりの結論を出したり,その結論の妥当性について批判的に考察したりすること」「統計的な問題解決のよさに気付き,データやその分析結果を生活や学習に活用しようとする態度を身に付けること」の3つである。

 ところが,小学校は全教科を担当することから「算数が苦手」な教員も少なからずいて,D領域をどのように指導したらよいか迷っている(悩んでいる)状況がある。

 そんなとき,本書が目に留まった。「小学校学習指導要領の解説算数編」「教科書の教師用指導書」などを熟読することに加えて,本書を読み込んでいくと,自信をもって子供の前に立つことができるに違いない。

 第1章:統計の基本的な「平均の意味と求め方」「平均値,中央値,最頻値」などの意味や使い方を具体的な例示をしながら解説。第2章:各種のグラフ(絵グラフ,棒グラフ,折れ線グラフ,柱状グラフ,円グラフ,帯グラフ,複数の帯グラフなど)を具体例を基に,見える化しながらの解説。第3章&第4章:子供の指導のみならず教師の業務にも役立つマイクロソフト(エクセル)を使った表やグラフの作成の仕方なども解説。第5章:統計教育における「主体的・対話的で深い学び」を実現するための解説。第6章:国語科や生活科,総合的な学習の時間などで,統計教育を教科横断的に展開する例や配慮点などの解説。と,至れり尽くせりの内容構成になっている。(H&M)