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教育研究所

書評:気になる1冊1167

「教職研修2019年5月号」 (教育開発研究所 定価:1080円)


 現在,各学校が抱えていて,その解決・対応に苦慮している課題(問題)に,「チーム学校としての教職員のまとまりをいかにつくるか」,「児童生徒の不登校にどう対応したらよいか」がある。

 今号では,これらについて特集を組み,どのように対応したらよいか,具体的に模索し,実践した事例が報告されている。これらをクリティカル・リーディング(精読)し,更に自校の実情や児童生徒の実態を考慮してクリティカル・シンキング(熟考)して,対応策や指導の方策を立て,実行していくことに活用したい。

 特集1「職員室をよくすれば,学校がよくなる!―教職員が信頼できる関係づくりのために」・石川晋一「なぜ職員室を"よく"すると,学校が"よく"なるのか」,渡辺貴裕「"教える人"にとどまらない教師同士の関係へ」,住田昌治「職員室をよくすることが"働き方改革"の第一歩」,岩瀬直樹「学校にまず必要なのは組織開発」,市場達朗「職員室をよくする管理職のあり方」,小金井市立小金井第三小学校&大熊雅士&岩瀬直樹「小金井市立第三小学校は,なぜ信頼し合える関係づくりをめざしたのか」。

 特集2「不登校の子供を,学校に来させるようにすべきか?―教育機会均等法下での学校の存在意義」・亀田徹「ポイント解説:教育機会確保法&文科省基本方針」,山本宏樹「不登校の子供が直面しうる困難と学校の役割」,日野善文「大空小学校と不登校」,小林凛「不登校経験者から見た学校」,山登敬之「不登校の子を持つ親を支えるための第一歩」,小国喜弘「"社会モデル"から見た学校の存在意義」。

 さらに,緊急企画「ネットを悪用した攻撃も増殖中!"対教師暴力"から教員をどう守るか」を組み,水谷明弘&竹内和雄&八並光俊&十川博一が,諸説を展開し参考になる。

 なお,特集2では,不登校を一方的に「困った子」と捉えるのではなく,「困っている子」という視点から「困っていること」をどうしたらよいのかと考えていることが素晴らしいと思った。(註:参考として,教育情報シリーズ161号「ユニバーサルデザイン"困っている子"ではなく"困っている子"」教育出版教育研究所,「新学習指導要領を推進する学校マネジメント」学事出版がある)(H&M)