ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:気になる1冊1168 <働き方の教科書>

教育研究所

書評:気になる1冊1168 <働き方の教科書>

出口治明著「働き方の教科書~人生と仕事とお金の基本~」(新潮社 本体:550円)


 自分は幸せだと思うこともあるし,余り恵まれていないと思うこともある。自分の人生は充実しているとある程度満足する時と,どうも......ともやもやした気持ちになるときもある。「よし!」と意欲的に仕事に取り組むこともあれば,「やらなければ......」と思いつつ先送りにすることも少なくない。「その日その日が普通に暮らせれば十分!」と自分に言い聞かせてそれなりに満足している日もあれば,「宝くじにでも当たらないかな」と懐の寒さにふと妻の横顔をそっと見るときもある。人生とは,所詮そんなものだろう。

 そんな時,本書が目に留まり,特にサブタイトルの「~人生と仕事とお金の基本~」が気になって読むことになった。著者の「教えてやる」「こうすべきだ」「こう考えるべき」という雰囲気が少しばかり気になるが,「人生」と「仕事」と「お金」について,平易な言葉でエッセイ風に著していて,働き方のヒントにもなるし,自分の働き方に自信を持つことにもなろう。目次を見て,興味のある部分をつまみ食いしていくだけでもよいと思う。ネタ晴らしにならない程度に,目次だけ大雑把に紹介する。

 序章「人生は悔いなし,遺産なし(人生にそれほどチャンスはないなど3節)」,第1章「人間と人生をどう考えるか(人間チョボチョボ論,人生は99%失敗するなど8節)」,第2章「仕事と人生の関係(仕事は人生の3割,仕事の質は楽しさで決まるなど5節)」,第3章「20代の人に伝えたいこと(ビジネスは成果がすべて,考える癖をつける,仕事はスピードなど8節)」,第4章「30代,40代のうちにやっておくべきこと(上司を論破し部下に全勝する,2・6・2の法則(註:優秀が2割,普通が6割,仕事をしない不良が2割)を忘れないなど7節)」,第5章「50代になったら何をするか(50代ほど起業に向いた年齢はない,必要なのは強い思いと算数など9節)」,第6章「あなたが生きるこれから30年の世界(世界に起こる変化,あなたがやれることは山ほどあるなど4節)」,終章「世界経営計画のサブシステムを担って生きる」,朝井リュウ×出口治明「特別対談:年齢フリー社会の仕事と生き方」。

★註:上記の「必要なのは強い思いと算数」は,原文通りです,間違いではありません。強い意志と計算(目論見)という意味。(H&M)