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教育研究所
書評:気になる1冊1172<純喫茶宣言!東京人6月号>
「東京人tokyojin2019年6月号」 (都市出版 定価:930円)
1965年頃の東京には,他の所は知らないが,みんなで歌う喫茶店(歌声喫茶)や,コーヒーを主とした飲み物だけを出す喫茶店(純喫茶)が沢山あった。若者は「さてん」(茶店)と称して,流行の先端を走っているような時代であった。ちなみに,高校生だったが,月曜日の朝礼で,校長先生や生徒指導担当の先生が「喫茶店に出入りしたり,制服の下に色物のシャツを着たり,たばこを吸ったり(これは当然だが)など不良のするようなことはするな...」と,話していたのを懐かしく思い出す。今どきの物差しでは「古典的な話」であるが...。
今号の特集「純喫茶宣言!」と表紙の「...風俗的で酒場でもなく,単純に,喫煙と茶,珈琲を楽しむために喫茶店に行く人や,喫茶時間をこよなく愛する人が増えています。世知辛い世の中で最もゆったりと時間が流れ,憩い,くつろげるオアシスが純喫茶なのです」を読んで,あの頃に戻ったような気分になった。
そういえば,最近でも,神田神保町の勤務先のTK先輩と,ランチの後に喫茶店で,煙草をくゆらし珈琲を飲んでゆったりと過ごした時間を共有したものだ。喫茶店が禁煙になって,今では,勤務先で,自ら珈琲を入れて,気の合った仲間たちと「天下国家や企業の国際社会に果たす役割」などを語り合い楽しんでいるそうだ。
今号の内容も少し紹介する。対談「乙女の憩い」小谷美由×松尾レミ,「街の日常を味わう」泉麻人×石井正則,「写真的喫茶店論」川島小鳥×沼田元氣。清水ミチコ「実家の一階が私にルーツ」,s-ken「惹かれるのは,ドラマのある店」,別役実「大都会の仙境」,さいとう・たかお「珈琲と煙草でワンセット」,「煙草が似合う店」ギャラン/名曲・珈琲麦/トロワ・シャンプル,難波里奈「あの店のあの人に逢いたくて」珈琲専門店エース/ペドラブランカ/仮面屋おもて,「ここでしか味わえないメニューのある店」珈琲専門店TOM/珈琲亭郷/珈琲ツネ。などなど,珈琲にまつわる話題が満載である。(H&M)