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教育研究所
書評:気になる1冊1173<初等教育資料5月号>
「初等教育資料2019年5月号」 (東洋館出版社 定価:540円)
令和2年度からの新学習指導要領の完全実施が,いよいよ秒読みになってきた。でも,働き方改革と言いながら掛け声だけで,一向に「子どもと向き合う時間」の確保につながらない現実に苦労している。だから,もう理論ではなく,「これを」「こうしたらどうか!」という手っ取り早いものが欲しい。
そんな声が聞こえたか,今号の特集は,言語活動と算数指導に的を絞っている。早速手にして,精読(批判的読み)に努めている。
特集Ⅰは,「学習の基盤となる言語能力の育成―言語活動の充実」で,論説「言語能力の育成の重要性と言語能力を構成する資質・能力が働く過程」高木展郎,解説「学習の基盤となる言語能力の育成―国語科を要とした言語活動の充実―」文科省教育課程課・幼児教育課,論説事例:「国語科(社会科・算数科・理科・生活科・音楽科・図画工作科・家庭科・外国語活動・道徳科・総合的な学習の時間・特別活動)における言語活動の充実を図った授業づくり」文科省教科各調査官が具体的に解説している。
第Ⅱ特集は,「算数―新学習指導要領に向けた指導の在り方-算数科における子供のつまずきと新しい内容」で,算数の指導で一番教師が苦労する「つまずきの発見と適切な支援」につながる内容である。論説「算数科における子供のつまずきと新しい内容」笠井健一,事例1「第3学年・分数」谷川友弥,事例2「第4学年・小数を用いた倍」松下祥子,事例3「第4学年・簡単な場合についての割合」守屋有紀,事例4「第5学年・小数のわり算の意味」谷内康司,事例5「第5学年・商分数」土屋藍,事例6「第5学年・単位当たり量の大きさ」牛尾安美。
巻頭言「新学習指導要領の実現に向けて」常盤豊,連載の「宇宙を活用した授業づくり」宇宙航空研究開発機構宇宙教育センター,「東京の未来に向けたグローバル人材の育成」東京都教育委員会,特別支援教育「学習の基盤となる言語能力の育成」阿部厚仁,教育資料「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」も役立つ。(H&M)