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書評:気になる1冊1183<読む寿司>

川原一久著「読む寿司オイシイ話108ネタ」(文芸春秋 本体:1400円)


 日本の寿司(握り寿司)は,単なる「ヘルシーフード」から「食文化」と認められるようになっているそうだ。それが証拠に,「ここにもか!」というくらい世界のいたる所に日本寿司店がある。その中には,「これが寿司か!?」と驚きのものもある。でも「日本の寿司が国際化し,進化しているのだ!」と,したり顔で解説する食文化評論家(?)もいるくらいで,日本が様々な視点から注目されている一端であるという意味に捉えれば,目くじらを立てることでもあるまい。

 ところで,ある調査では,「寿司はどこで食するか?」と調査したところ,実に75%近くの人が「回転寿司」と回答しているそうだ。我が家ですか? 「今日は食事を作るのが面倒だから」とか,「子供が運動会で頑張ったから」などという時は「回転寿司」に行くことになる。子供たちが,「たまには,回らない寿司屋に行こうよ」という時にたまに「普通の寿司屋」に行くことがある。その時は,「大トロ」などと贅沢三昧をする子供にドキドキしているが。

 ところで,本書は,来日した外国の友人が「江戸前寿司(回らない寿司屋)」の本物の寿司の味に感動したのをきっかけに,寿司についてあれこれを調べ上げ,珍しい寿司職人紹介所,ネタと寿司飯(シャリ)の絶妙な関係などをまとめたものである。

 寿司にまつわることが,108話に集約されていて,読み終えたからと言ってこれという教養が高まったという実感は得られないが,十分に楽しむことができる。家族で「回転寿司」に行った際に,したり顔で知識をひけらかすことができるであろうし,馴染みの「回転しない寿司店」でマスターの機嫌を取ることにも役立つであろう。(H&M)