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教育研究所
書評:気になる1冊1185<ひとりで,考える>
小島俊明著「ひとりで,考える―哲学する習慣を」 (岩波ジュニア新書 本体:820円)
年少者(junior)対象の本書を,孫にでも読ませようかということで購入した。帰りの電車の中で読んでいるうちに,のめりこんでしまい,大人の自分が最後まで目を通すことになってしまった。
グローバル化した国際化時代を生き抜いていくためには外国語教育,国際理解教育が重要だと思い込んでいたが,人間そのものの「人生や社会を考え,思索する習慣と能力」を身に付けることが必要かつ重要だと知らされ,遅きすぎる感はあるが「その通り!」と納得してしまった。そして,生活に追われるままにいたずらに時を過ごしてきた日々(だからと言って,決して後悔はしていない)を振り返るきっかけを作ってもらったことに礼を言いたいくらいである。余計なことを言わず,今夕の食卓でそっと孫に本書を手渡すつもりである。
「プロローグ」,第1章「ひとりを大切に(哲学という日本語,群れることがいじめを生む,討論の体制など9つの哲学の仕方と,哲学した人①ミシェル・ド・モンテーニュ中庸の精神を説いたルネサンス人)」,第2章「考えるを大事にする(セ・ラ・ヴィ(それが人生よ),社会参加でアンテナを張るなど5つの哲学の仕方と,哲学した人②ルネ・デカルトまず疑う,それから考える)」,第3章「想像力を大事にする(絵のない絵本と絵だけの絵本,星の王子さまのプレゼント,古典落語と豊かな想像力など8つの哲学の仕方と,哲学した人③ブレ―ズ・パスカル考えることがモラルの原理)」,「エピローグ」,「一人で,考えるためのブックリスト宮本武蔵「五輪書」「哲学する子供たち―バカロレアの国フランスの教育事情」「方法序説などデカルト」など27冊の紹介」。(H&M)