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書評:気になる1冊1208<フィンランドの教育はなぜ世界一なのか>
岩竹美加子著「フィンランドの教育はなぜ世界一なのか」(新潮文庫 本体:780円)
PISA(ピザ)調査は,15歳義務教育終了段階(日本では高校1年の1学期)で「身に付けた知識・技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ること」を目的として,「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」について実施している。(註:単なる国語の読解,数学の学力,理科の学力ではない。)
フィンランドは,PISA調査で各分野とも好成績(参加国・地域の中で第1位)を収めている。テストも受験もないのに,どうして世界一なのだろうかと,フィンランドの学校教育の実情を調べてみると,日本のそれとは大きく異なっているそうだ。
新学習指導要領では,育成すべき資質・能力の3つの柱を「生きて働く知識・技能」「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等」「学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力(主体的学習に取り組む態度)・人間性等」としているが,これは,PISA調査のコンピテンシー(competency資質・能力)に大きな影響を受けてのことらしい。
本書は,フィンランドでの自身の体験を踏まえて上梓している。子供たちにどのような力をつけてほしいかを考え,内容(contentsコンテンツ)と習得してほしい資質・能力(コンピテンシー)と授業の在り方を考えることが求められる。その意味で,本書は,新しい教育課程の編成・実施に多くの示唆を与えてくれる。(H&M)