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書評:気になる1冊1210<教育研究7月号>

初等教育研究会編「教育研究2019年7月号」 (不昧堂出版 定価:850円)


 筑波大学附属小学校の先生方を中心に発行している月刊誌である。今月号の特集は「成長を自覚する子供」で,以下のように子供の成長(変容,向上,進歩の状況)をどのように見取り,さらなる成長につなげていくかを論じている。

 「特集について」辻健,「成長に喜びを感じる子供たち」東京大学教授秋田喜代美,「本気の問題解決を通して成長の自覚を!―戦後の小学校理科の「当たり前」を見直す―」松本謙一,「生徒の変容を見取る―1枚のポートフォリオ評価による自己評価―」辻本昭彦,「もとの自分と今の自分をくらべる」大野桂,「成長の自覚は,自分自身への価値づけ」笠原壮史と,指導と評価の一体化について掘り下げることができる。

 また,インタビュー「今,この人に聞く」は,動物学者今泉忠明氏で,テーマは「残念でもいいんだ...強くなくても,速くなくても」で,現在子供たちに読まれている「残念な生き物たち」などのシリーズと関連させて読むと面白い。エッセイは,登山家の栗秋正寿氏の「冬のアラスカ単独行」である。

 連載は,「シンプルで最強のキーワード,まだわからないよね!」元TBSキャスター下村健一,「先生のための聞き方・話し方,質問する」元NHKアナウンサー岡部達昭,「実践!プログラミング教育―主体,創造,論理を育成するプログラミング」鷲見辰美と,充実している。

 その他,「全国授業とれたて便・探求的な活動を通して,能動的に学ぶ子供の育成~深い学びをめざして・6年植物の体のつくりと働き~」浜寺石津小学校教諭坂口隆太郎,「算数科の探究学習において「個の目のつけ方」をどう成長させていくか」副校長田中博史,研究発表「体育:トランジションバスケ」清水由&「図工:不要なものから新しいものの創造」笠雷太&「理科:見方・考え方を働かせる授業」志田正訓&「算数:理解と活用」盛山隆雄&「社会:深い学びを作り出す授業づくり」由井薗健&「国語:フレームリーディング(註:細切れの読み取りではなく,学習課題を工夫し,文章全体の内容や構造を捉える力を育てることを目指した読み取る学習である)」青木伸生と,得るものが多い。(H&M)