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教育研究所
書評:気になる1冊1215<先生になる7つの方法>
森島徹著「出会えてよかった先生になる7つの方法」(教育芸術社 本体:1300円)
東京都立教育研究所(現在は閉所)に勤務していた頃,「優秀な教師はどのようにして育ったか?」ということ(正式なテーマは失念)について,プロジェクト研究をしたことがあった。おぼろげな記憶では,優秀な教師は,経験10年くらいまでに「モデルになる先輩教師が身近にいて指導を受けることができた」「やや厳しい校長や教頭に指導を受け,勉強するよう促され続けた」「身近に複数の仲間がいて,互いに学び合った」が大部分であったと思う。加えて,自分が子供の頃に指導された「小・中学校の先生の中に,印象に残るいい授業をしてくれた先生がいて,教師になってからもそれを思い出して,マネをしていた。」というものもあった。
筆者は元校長先生で,「子供に質の高い授業(指導・支援)のできる教師として充実して生きるためのヒント」として若手教師に贈る目的で,本書を上梓したということである。
「基礎編」ではQ&A形式で,若手教師の不安や疑問に答えている。その中で,「授業の不安を解消する」「子どもの指導に関する不安を解消する」「先生自身の不安を解消する」「少し視野を広げて見る」「教師についての理解を深める」「授業が面白くなる工夫を考える」「脱線話を考えてみる」などを具体的に取り上げている。
また,「実践編」では,ケーススタディで,授業力を高めるトレーニングを紹介し,実際にどのように指導したらいいかということが学べるようになっている。
これらの全てを実行するのは無理があるので,納得した部分から試してみて,効果のあるものを身に付けていくようにするとよいと思う。また,若い先生方を指導する立場の先生の「指導の在り方」のヒントとしても役立つ部分がたくさんある。 (H&M)