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書評:気になる1冊1217<教員の国際比較>

「教員の国際比較:OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書―学び続ける教員と校長―の要約」 (令和元年6月19日 国立教育政策研究所<HPからダウンロード可>)


 OECD(経済開発協力機構)は,表記に関する2018年の調査結果を公表した。それによると,教員の1週間当たりの勤務時間は,上位9位までを紹介すると次のように,実に驚くべき数値である。

 小学校は,勤務時間(単位:時間)が長い順に,日本(54.4),イングランド(48.3),ベトナム(43.7),オーストラリア(43.7),スエーデン(42.7),アルゼンチン(36.9),オランダ(36.0),スペイン(35.3),韓国(32.5),トルコ(31.7)の順であり,日本がダントツに長い。

 一方,中学校は,勤務時間(単位:時間)が長い順に,日本(56.0),カザフスタン(48.8),カナダ(47.0),イングランド(46.9),アメリカ(46.2),イタリア(30・0),ブラジル(29.8),アルゼンチン(29.0),サウジアラビア(28.7),ジョージア(25.3)の順であり,やはり日本がダントツに長い。

 また,質的な面に目を向けると,次のような結果が出ており,良い面と課題が浮き彫りになっている。小学校&中学校(参加48か国平均%)で示す。

 授業の始めに目標を設定する:小学校84.3&中学校93.4(平均83.4),新しい学習内容と過去の学習内容がどのように関連しているか説明する:小学校63.1&中学校68.6(平均86.2),明らかな解決法が存在しない課題を提示する:小学校16.1&中学校15.2(平均37.5),批判的に考える必要がある課題を与える:小学校12.6&中学校11.6(平均61.6),デジタル技術の利用によって児童生徒の学習を支援する:小学校35.0&中学校38.5(平均66.7),児童生徒の批判的思考を促す:小学校24.5&中学校22.8(平均82.2),児童生徒に勉強ができると自信を持たせる:小学校24.1&中学校34.7(平均86.3),新しい知識が役立つことを示すため日常生活や仕事での問題を引き合いに出す:小学校53.9&中学校55.6(平均76.7),児童生徒を少人数に分けて問題解決をさせる:小学校56.1&中学校44.4(平均52.7)などである。

 働き方改革では,物理的な時間の問題と,質的な内容及び方法などについて検討し,国と教育委員会,学校と保護者・地域及び関係諸機関で,連携・協力して本気で取り組み,「子供のためになる」学校運営と教育活動を目指したいものである。(H&M)

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