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書評:気になる1冊1220<最新宇宙論入門>
村山斉著「宇宙は本当にひとつなのか・最新宇宙論入門」(講談社BLUE BACKS 本体:820円)
私たちは,日頃見聞きする「宇宙」を,宇宙の大部分だと無意識のうちに認識してしまっている。ましてや,万物は原子でできていると学校で学習してきたものだからそのことが証明されているかのような錯覚に陥ってしまっていたようだ。
著者によると,原子は宇宙全体の約4.4%,残りの96%弱のうち暗黒物質が約23%,残りの約73%は暗黒エネルギーだということである。実は,宇宙についてはよくわかっていないということである。(「はじめに」による)
そこで,本書は,最新の理論と実験を駆使して,新しい宇宙論に迫り,読者に分かりやすく解説してくれる(ということである)。私には,容易ではなかったが,中学生の孫が面白いと言っているから,天文が苦手な大人でも「新宇宙論」を満喫できるかもしれない。
第1章「私たちの知っている宇宙(太陽系は宇宙の一部,星は何からできているのか,銀河の中は暗黒物質で満ちているなど14節&質疑応答)」,第2章「宇宙は暗黒物質に満ちている(銀河団も暗黒物質に満ちているなど4節&質疑応答)」,第3章「宇宙の大規模構造(宇宙は膨張しているなど5節&質疑応答・コラム)」,第4章「暗黒物質の正体を探る(WIMP(註:冷たい暗黒物質のことweakly interacting massive particlesの略)の正体,異次元からやってきた?!など8節&質疑応答・コラム)」,第5章「宇宙の運命(宇宙が裂ける?暗黒エネルギーが生み出されるスピードなど7節&質疑応答)」,第6章「多次元宇宙(宇宙は1つではない,異次元はすぐそばにあるなど10節)」,第7章「異次元の存在(ブラックホールは異次元の証拠,ワープする宇宙など7節&質疑応答)」,第8章「宇宙は本当にひとつなのか(宇宙の枝分かれ,理論物理学最悪の予言,宇宙はものすごくたくさんある?など7節&質疑応答)」,加えて「さくいん」もついている。(H&M)