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教育研究所

書評:気になる1冊1222<スクールマネジメントブック>

玉置崇著「働き方改革時代の校長・副校長のためのスクールマネジメントブック」(明治図書 本体:1900円)


 学校・教員の働き方改革が声高に論じられているが,一向に具体的な変化が見えてこない。「午後〇時までに退勤すること」,「勤務時間管理にタイムカードの導入」,「水曜日はノー残業デー」などが,一部の学校で行われているが,今ひとつである。

 それは,どうやら,「教職員の仕事の充実感・達成感・やりがい」,「子供と向き合う時間の確保と改善・充実への意欲」が脇に置かれたままの「単なる労働時間の削減・短縮」になっているきらいがあるからではないだろうか。

 著者は,そのあたりに焦点を当て,残業が「熱心さの証という感覚のずれ」,必要ないのに重要だと信じて必要ないこと・効果がないことに打ち込んでいる「思い込み業務」などを具体的に示し,働き方改革の進め方についてのヒントを,校長や副校長・教頭に提案している。

 管理職はもちろんのこと,管理職を目指す先生方やミドルリーダーの研修テキストとしても役立つ1冊である。

 Chapter1働き方改革の第一歩を踏み出すための心得,Chapter2校長の働き方の心得,Chapter3副校長・教頭の働き方の心得,Chapter4ミドルリーダーとのかかわり方・育て方,Chapter5子どもとのかかわり方・育て方,Chapter6保護者,地域とのかかわり方・つながり方,Chapter7校内研修のコスパ(註:cost performanceの略。費用対効果の意味)を高める,Chapter8アクティブラーナーを育てるためのスクールマネジメント,Chapter9これからの時代の管理職志願者に向けて,と,充実していて,具体的で明解,平易である。「ミドルリーダーの育成」,「子どもを育てる」,「保護者・地域とのかかわり」にまで心配りをしていて,著者らしい心配りである。 (H&M)